現金重視の人が知らないフィンテックの世界 投資・決済・金融システムの姿が変わる

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●クラウド・ファンディング……群衆(Crowd)と資金調達(Funding)を組み合わせた資金調達方法だが、ソーシャル・ファンディングとも呼ばれる。これも、フィンテック特有の方法によるもので、既存の金融システムに比べて格安のコストで多種多彩な分野に投資ができる。多彩なプロジェクトに投資可能な「kibidango(きびだんご)」。個人と事業を連携させる投資プラットホームで運営される「セキュリテ(ミュージックセキュリティーズ)」などが知られている。

●家計、業務、経営支援……企業向けに会計や販売管理、給与計算などをアプリで簡単に可能にする支援ビジネス。領収書や請求書の管理、給与計算などの会計業務全般の代行サービスをクラウドを使って提供する。

個人向けの財務管理機能も、スマホのアプリ1つで領収書や名刺管理など幅広い支援を展開できる。たとえば、銀行、クレジットカード、ポイントなどを一括で管理する家計簿アプリ「マネーツリー(マネーツリー)」は、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルなどが共同出資している。

「ブロックチェーン」の可能性

フィンテックは、すでに10年以上も前からさまざまな形で実現してきたわけだが、それがここにきて日本でも大きく注目されてきたのにはいくつかの理由がある。

1つは、仮想通貨が金融庁によってやっと登録制度として認められたことだ。ビットコインに代表される仮想通貨が取引所の存在を認められたことで、フィンテックの進展に大きな追い風となっている。

そして、もう1つの理由が、その仮想通貨を支える中核技術である「ブロックチェーン」の活用が急速に進みつつあることだ。ブロックチェーンとは、インターネット以来の発明とも言われ、複数のコンピュータで情報を共有し、相互に監視しながら外部からの侵入などを防ぐ高いセキュリティ機能を確保している。システム導入コストも飛躍的に安いために、中小企業や自治体などが簡単に導入できるという特徴を持っている。

たとえばブロックチェーンを使えば、自分独自の仮想通貨を創出することも可能だ。中小銀行などと自治体や企業グループなどが提携して、その地域特有の仮想通貨を発行することも可能になる。

これまでも地域限定の通貨を創出して、地域内だけで利用できるような仕組みを構築して来たところは多い。ただ、独自通貨を創るとなると、紙幣の印刷代などコストも高くつく。かといって、ビットコインのような仮想通貨を発行するとなると、高性能のサーバーが必要となり、サーバーを常時稼働させるために電気代だけでも莫大なコストを必要とすることになる。

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