「AI投資情報サービス」は本当に使えるのか 決算発表後「1分」で内容を知らせるサイトも

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その他のネット証券のサービスとしては、為替サービスで、松井証券が「AIチャート・FX」というサービスを提供しています。ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる技術を活用したAI搭載のロボ・アドバイザーのサービスで、チャートから「売り」「買い」のタイミングを選択するだけで、AIがチャートパターンを分析し、利用者・個人だけの投資アルゴリズム(手順の定式化)を作成します。作成されたアルゴリズムは、リアルタイムで売買タイミングを通知してくれる優れものです。

また、東海東京証券はネット投資家向けに「TTスキャン」というAIを活用したテクニカル分析サービスを提供しています。

統計的なアプローチの観点から過去5年間における株式市場データを取り込み、銘柄ごとに効果の高いテクニカル指標を洗い出し(ビッグデータ解析)、そのテクニカル指標が発生した場合の過去の勝率および期待上昇/下落率を提示することで、テクニカル分析を活用する投資家への期待に応えています。

SNSの情報や株価をもとに、話題銘柄情報を入手

一方、岡三オンライン証券はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)とAIを活用した面白いサービスを提供しています。たとえば、TwitterをはじめとするSNSの情報をAIで解析・分析し、投資情報として提供する新しい投資情報ツール「♯カブトレンド」を提供し、SNSの情報や株価を基に、話題になっている銘柄のランキングを知ることが可能です。市場で今、何が話題になって、どのような銘柄が注目されているのかを知るのに便利だといわれています。

このようなネット証券各社が提供しているAIサービスをしっかり比較、検討し、自分の投資スタイルに合った形で効果的にAIを活用し、投資に臨んでいただけたらと思います。筆者個人としては、カブドットコム証券、松井証券が提供しているAIによるテクニカル分析ツールに注目しています。

NPO法人・日本テクニカルアナリスト協会主催で、同志社大学の東京サテライト・キャンパスにてセミナーが開催されます。AIの最新トレンドがわかります。ご興味のある方はこちらからお申し込みください

このAIのテクニカル分析ツールを提供しているのが前出のサービス名でも触れた「Alpaca(アルパカ)」という会社です。この会社は今、ディープラーニングを活用してAIとテクニカルを結び付けた先端のベンチャー企業として注目されています。

こうした会社が提供するAIの先端技術によって、チャートのパターン認識の精度がどこまで進化するのか? また、株価などのビッグデータやチャートパターンなどに基づくテクニカル分析とAIの融合による投資判断の示唆が実際の投資家による売買と結び付いて、マーケットにどのような影響を与えるようになるのかに注目しています。まさにAI時代だからこそ再度、テクニカル分析に注目したい1つの理由でもあり、そうした動きをウォッチして投資の成果につなげていきたいものです。

中村 貴司 東海東京調査センター 主任調査役 シニアストラテジスト

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なかむら たかし / Takashi Nakamura

日系、外資系証券、損保・証券系運用会社でアナリスト、ファンドマネージャー等を経て現職。ファンダメンタルズ分析にテクニカル分析や行動ファイナンス理論を組み合わせた投資戦略、市場分析を重視。国際公認投資アナリスト(CIIA)、CFP、国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。日経CNBC等での出演のほか。日経新聞、QUICKなどでもコメント・執筆。早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター「ファンドマネジメント講座」などで講師を務める。

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