居酒屋「磯丸水産」がギョーザ屋を始めた理由 ニンニク不使用のギョーザを売る狙いとは?

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磯丸水産などを展開するSFPホールディングスが手掛けるギョーザ居酒屋「いち五郎」。6月末にオープンした上野店は連日、多くの客でにぎわっている(撮影:尾形文繁)

10月下旬のとある平日。周囲が暗くなり始めた午後6時ごろに東京・上野駅の飲み屋街を歩いていると、ひときわ目立つ看板が目に入った。「上野いち五郎」と書かれたその看板を掲げる居酒屋は、スーツ姿のビジネスパーソンや若いカップル、お年寄りの夫婦など、幅広い客層でにぎわっていた。

39席ある1階フロアはすでに満席。午後7時を過ぎると2階フロアの49席もすべて客で埋まった。実はこの店舗、海鮮居酒屋「磯丸水産」や手羽先空揚げ「鳥良商店」を運営するSFPホールディングスが始めた新業態のギョーザ居酒屋なのだ。

来店客の4割を女性が占める

女性人気の高い「パク・チーズ餃子」はギョーザの上にチーズとパクチーがトッピングされている(写真:SFPホールディングス)

上野の店舗は、今年3月に開業した新宿小滝橋通り店に続く2号店として6月末に開店した。翌7月には兵庫県尼崎市に、さらに10月には横浜などに3店舗をオープン。11月下旬にも関西圏に新店を立ち上げる計画だ。

翌日に仕事を控えていると、においを気にしてたくさんのギョーザを食べるのを避ける人もいるはず。いち五郎では13種類のギョーザをそろえるが、主力商品の「極み餃子」以外はニンニクを使用していない。こうした配慮が女性客を引き付けている。実際、いち五郎全店に占める女性客の割合は約4割と、磯丸水産よりも高い。

豊富なサイドメニューも強みの1つだ。いち五郎では「黒マカロニサラダ」「もつ煮込み」「鶏の炙り刺し」といったギョーザ以外のメニューにも力を入れている。「磯丸水産でも刺身だけだと飽きられるので、サイドメニューを幅広く取りそろえている。そのノウハウをいち五郎のメニュー開発に生かした」。SFPの佐藤誠社長はそう語る。

SFPの主力業態である磯丸水産や鳥良商店は店舗網を拡大しており、業績も順調に推移している。にもかかわらず、なぜ今、ギョーザ居酒屋の出店に踏み切るのか。

佐藤社長は「ギョーザをおつまみとして提供する居酒屋は、客層も幅広く、いま面白いと感じている。(磯丸水産、鳥良商店に次ぐ)3つ目の収益柱として、しっかりと育成していきたい」と強調する。

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