三菱ふそう、EVトラックで市場奪取の本気度 EVシフトの大潮流は商用車をどう変えるのか

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三菱ふそう・トラックバスが東京モーターショーに世界初出展した大型EVトラックのコンセプトモデル「Vision ONE」。乗用車に加え、商用車でもEVシフトが鮮明だ(撮影:尾形文繁)

世界で進むEV(電気自動車)化の潮流がトラックにも押し寄せている。

11月5日まで東京ビッグサイトで開催されている「第45回東京モーターショー」。国内外の自動車メーカーがEVや自動運転車など次世代の乗用車を数多く出展している。その陰に隠れてあまり目立たないが、実はトラックなど商用車の分野でも最先端の技術を投入したEVが出品されている。

トラック・バスの全車種にEVモデル導入へ

三菱ふそうのマーク・リストセーヤ社長は、東京モーターショーで、EV化に大きく舵を切ることを宣言した。手で示しているのは、大型EVトラックのコンセプトモデル「Vision ONE」(撮影:尾形文繁)

中でも注目を集めているのが、電気商用車ブランドの「E-FUSO」を新たに立ち上げた三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)の展示ブースだ。小型EVトラックの「eCanter(eキャンター)」はEVトラックとして世界初の量産を可能にした。世界初公開の大型EVトラックのコンセプトモデル「Vision ONE」では航続距離350キロメートルを打ち出す。

同社のマーク・リストセーヤ社長は、「数年以内にトラックとバスの全車種に電動化モデルを導入する」と、EV化に大きく舵を切ることを高らかに宣言した。

三菱ふそうは2004年ごろから、EVトラックの開発に着手。2010年に独ハノーバーモーターショーにeキャンターの原型「キャンターE-CELL(プロトタイプ)」を初出展した。その後、日本・ポルトガル・ドイツでの実証試験を経て、2016年に「eCanter(プロトタイプ)」をハノーバーモーターショーで世界初公開。eキャンターの量産体制を整え、今年7月から川崎工場で日本向けに50台、ポルトガルの工場で欧州・北米向けの車両100台の生産を開始している。

三菱ふそうが世界で初めて量産可能なEVトラックとして開発した「eキャンター」。66kWhのリチウムイオン電池を搭載し、1充電あたりの航続距離は約100キロメートル(撮影:尾形文繁)

今回開発したeキャンターは車両総重量7.5トンクラスの3人乗り。走行用のリチウムイオンバッテリーには、三菱ふそうが属するダイムラーグループのメルセデス・ベンツがプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載するのと同じものを使用している。容量が11kWhのバッテリーをベンツの1個に対してeキャンターは6個も搭載。充電時間は普通充電で約11時間、急速充電で約1.5時間。1回の充電による航続距離は約100キロメートルという。

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