ツムラが本場・中国で「伝統医薬」に挑むワケ 中国企業と資本提携、現地需要取り込み狙う

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生薬の収穫後、地上部の除去作業を行う(写真:ツムラ)

今回の提携は、これまで中国事業で主体としてきた日本向け生薬などの調達ではなく、現地需要がターゲットとなっているのが大きな特徴だ。およそ150億円を投じ、中薬エキス製剤の製販体制を整備、ほかに栽培用地の確保や加工技術の開発、加工場の設置など生薬調達体制も強化する。具体的な製造品目や生産量などはこれから検討する方針という。

「飲水思源」を実現

ただし、製造・販売には規制当局の許可が必要なため、収益への貢献はさらにその先になりそうだ。昨年春に設立した合弁会社、上海上薬津村製薬では配合用顆粒の製造を目指しているが、規制や販路の違いもあり、現時点では連携は考えていない。

ツムラの加藤照和社長は「中国には『飲水思源』ということわざがある(水を飲むときは井戸を掘った人に感謝しなさいという意味)。われわれは日本の伝統医療である漢方のために中国から生薬を調達させていただいている。これまでに中国拠点で培った技術・ノウハウ・人材など当社の経営資源を活用し、中国の伝統医療と国民の健康に貢献することで恩に報いる」と説明する。

これから提携内容をどう具体化していくか。本場・中国でツムラの実力が試されることになる。

小長 洋子 東洋経済 記者

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こなが ようこ / Yoko Konaga

バイオベンチャー・製薬担当。再生医療、受動喫煙問題にも関心。「バイオベンチャー列伝」シリーズ(週刊東洋経済eビジネス新書No.112、139、171、212)執筆。

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