次期日銀総裁に必要な資質と期待すること 自民党の圧勝で黒田総裁は続投なのか?

✎ 1〜 ✎ 47 ✎ 48 ✎ 49 ✎ 最新
拡大
縮小
安倍首相は2018年4月以降も黒田総裁に続投させるのだろうか(撮影:尾形文繁)

台風21号が日本列島に接近した22日投開票の衆議院選挙は、事前予想どおり自公で3分の2(310議席)を超える圧勝となった。野党分裂の追い風があり、希望の党の小池代表の「排除」発言が「ユリコノミクス」ではなく、「ユリコのミス」だった。安倍首相が政権与党を奪還した2012年、2014年と今回で衆院選は3連勝。歴代の自民党総裁では最多回数で、来年2018年9月の自民党総裁選での3選もほぼ確実(2021年までの長期政権化)とみられる。この結果はアベノミクスが信任を受けた形となり、当面は日銀による大規模な金融緩和が維持されよう。

日経平均株価は23日に15日続伸で最長記録となった。解散風が吹いた9月19日に2万円台を回復、10月以降は海外勢主導の本格的な買い(アンダーウェートからの転換)で上昇に弾みがついた。ただし15日間の上昇幅は1340円(上昇率は6.6%)程度にとどまる。日本の景気拡大局面も今年9月で戦後2番目の長さとなったが、実感なき景気回復といわれる。今後のアベノミクスは、地道な成長戦略への取り組みを続け、将来の不安を和らげ、実感ある景気回復を目指すことが求められよう。

海外勢は日経平均2万3000円を視野に

一方の米国も市場の関心がハリケーンの被害から復興期待に変わり、税制改革期待も連なってNYダウが2万3000ドル台と最高値更新の快進撃を続けている。日米の共通点は、良好な経済環境のもとで、企業の業績期待を伴っていることだ。今後は国内企業の業績見通し発表を受け、米欧に比べた割安感が再び意識され、先高期待が盛り上がればPER16倍まで買われてもおかしくはない。

この連載の過去記事はこちら

海外勢は日経平均2万3000円(バブル崩壊後の戻り高値、1996年6月の2万2666円)を視野に入れつつある。短期的な過熱感(移動平均からの乖離、騰落レシオの過熱感)に上値を抑えられても、すぐに急激な下落や調整局面に転じる可能性は極めて低いとみる。足元では北朝鮮リスクが和らいでおり、不測の事態とならなければ、株高持続の機運が高まりそうだ。

次ページ早くも流れる黒田総裁の続投説
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT