栃木のカメラ屋がなぜか圧倒的高収益のワケ これから生き残る仕事、失われる仕事は何か

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AIやロボットの進化によって、人手がかかる仕事は急速に代替され、効率化されていく。この流れは止められない。こんな時代、私たちはどのようにすればいいのだろうか? ここで考えるべきなのは、AIやロボットで「消える仕事」と「消えない仕事」の違いを理解することだ。その違いを示唆する業界がある。斜陽産業のイメージが強い「林業」だ。

林業はなぜ復活したのか?

先日テレビ番組を見ていて驚いたことがある。「林業」が若者の間で人気だ、というのだ。番組では、東京の最先端アパレル企業から、北海道の林業の仕事に転職した30代男性が紹介されていた。東京にいたころの仕事は夜遅くまで残業することもあり大変だったが、現在は夕方4時には作業終了。家族とゆっくりと過ごせるようになったという。かつて林業は、「仕事は3K(きつい、汚い、危険)」「不人気で人手不足」といったイメージを持たれていたが、大きく変わったようだ。実際に、日本の木材の輸出量も、近年になり増加傾向が見られるようになっている。

林業が復活するきっかけになったのが、ITやロボットの導入だ。かつて、木の伐採・枝払い、丸太をつくる玉切りといった作業は人手がかかるうえ、熟練された腕が必要な重労働だった。しかし、いまやこうした作業はロボットが行っている。苗を背負い1本ずつ人手で植えていた造林作業も、苗木植栽ロボットが導入された。自動化がどんどん進み、重労働が激減しているのだ。

さまざまな仕事がITやロボットにより代替されていく。AIが合わされば、その動きはさらに加速するだろう。つまり、人間がやる必要のないことは減る。かといって「あなたの仕事」をすべて奪うわけではない。林業のケースのように、ITやロボットによって置き換えられる仕事は、パターンが決まっていて同じことを繰り返す「定型業務」である。手順が決まっているので、ITやロボットなどの「新しい技術」によりムダを減らし効率化できる。「定型業務」は、技術の進化とともに人件費をかけてやるべきことではなくなり、いずれ置き換えられる。

歴史を振り返れば、人類はつねに「新しい技術」で仕事を置き換えてきた。紀元前の農業技術や牧畜技術の誕生は、狩猟という仕事を置き換えた。18世紀の動力の誕生は、奴隷などが担っていた重労働を減らした。19世紀には、駅馬車という仕事が蒸気機関車に置き換えられ、人々はより遠くへ移動できるようになった。そして商品を大量配送できるようになり、ターミナル駅には百貨店が登場し、人々の生活は豊かになった。「新しい技術」によりムダをなくし、新たなビジネスを生み出すことで、私たちはより便利に人間らしく生活できるようになってきたのだ。

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