アコムを子会社化、三菱UFJの秘策

アコムを子会社化、三菱UFJの秘策

消費者金融業界に大きな衝撃が走っている。大手アコムが、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の連結子会社となることが決まったからだ。MUFGは、1株4000円で株式の公開買い付け(TOB)を実施、現在15%のアコム株保有比率を40.04%にまで引き上げる。

TOBをめぐっては、当初、アコムの創業一族である木下家(保有比率約40%)も保有株式を一部譲渡するとの観測があったが、創業家による株式放出はない。TOBは市場から吸い上げることを前提としており、それによって保有比率が40.04%に届かない場合、アコムはMUFGに対して第三者割当増資を実施する。

グループ内事業再編でローン保証業務を強化

従来、銀行と消費者金融という二つの金融セクターには深い溝があった。2004年3月に実現した前身の三菱東京グループとアコムの資本・業務提携は、その溝を埋める初めての本格的な合従連衡劇だった。しかしその後は、三井住友フィナンシャルグループとプロミスの陣営のほうが内容的に見て一歩リードする形勢になっていた。三井住友銀行はプロミスに対して約21%を出資、陣営はその後、中堅の三洋信販とポケットカードも傘下に収めた。

だが、今回の一件によって、両陣営のレースは再び逆転することとなりそうだ。アコムが従来の持ち分法会社からMUFGの子会社になることによって、アコムの資金調達力は相当程度強化されるものとみられる。06年改正の新貸金業法により消費者金融会社の貸付上限金利は利息制限法金利(年率15~20%)に引き下げられた。利ザヤの確保には調達金利の抑制が欠かせない。

それだけでなく、今回、MUFG陣営はグループ内の事業再編にも一気に動く。具体的には、アコムを中核会社にして、グループ各社に分散している小口無担保ローン保証事業を集約化。さらに三菱東京UFJ銀行(BTMU)などとアコムの合弁会社であるDCキャッシュワンのローン事業も統合する。一方、DCキャッシュワンのクレジットカード保証事業は三菱UFJニコスに移管される。結果として、DCキャッシュワンは清算される見通しだ。

アコムに移管される小口無担保ローン保証事業は、三菱UFJニコスと三菱UFJローン保証の2社がBTMU実行の小口無担保ローンに行っているものが対象。両事業を合算した保証債権残高は約3000億円に上る。アコムが行う小口無担保ローン保証の残高は現在、約1000億円。したがって、事業統合後にはアコムの保証債権残高は一挙に4倍となる。移管時期は来年度前半とみられ、その間の保証残高増加を勘案すると、統合時点では残高が5000億円規模に積み上がっていてもおかしくない。

ライバルのプロミスは、三井住友銀行やアットローン(プロミスと三井住友銀行の合弁)の無担保ローンに対する保証事業を主力にして、この分野の業容をいち早く拡大。現在の残高は約4000億円となっている。MUFG側の巻き返しで両陣営は肩を並べることになるわけだ。

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