職場で横行する、未婚者への「排除の論理」 「独身だから昇進させない」はまだ続いている

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仮に、百歩譲って「子どもを育てないと部下も育てられない」という理屈が正しいとすれば、子のない既婚者も同様ではないでしょうか。また、そもそも既婚男性が皆、育児をちゃんとしてきたと胸を張って言えるのでしょうか? 妻に任せっぱなしだった人も多いのではないでしょうか?

2016年の総務省の「社会生活基本調査」の生活時間に関する結果によれば、子どもを持つ夫の1日当たりの平均育児時間は共働き世帯で16分、片働き世帯で21分となっています。一方、妻は共働き世帯で56分、片働き世帯で2時間24分です。共働き夫婦が増加しようが、「イクメン」などという言葉が話題になろうが、直近でも子育ては主に母親が担当しているのです。

そう言うと、「子育てと育児は違う。単純に時間の多寡で測れるものではない。父親ならではの子育ての役割があるんだ。それを知らずに乱暴なことを言うな」と反論する方もいます。しかし、家庭での子育てと職場での部下育成を同等に扱い、「結婚して子育てしたこともない人間は部下も育てられない」という理屈だって、十分乱暴です。

職場での「排除」はこれだけじゃない

そもそも、未婚/既婚というその人の婚姻状況とは関係なく、「単独で仕事したがる」「集団行動になじめない」という人間の「排除」も存在します。これもまたソロ活動したい人に対するハラスメントであり、ソロハラといえます。私がソロハラという言葉を生み出したのは、単に結婚の有無だけではなく、単独行動をしたがる人間もいじめの対象になるという意味を込めているためです。

ソロモン(= 20~50代の独身男女。有業者で、かつ経済的に自立し、結婚意欲が現段階で低い人)の仕事に対する意識の特徴として、チーム単位で仕事をするよりも単独で仕事をしたがるという傾向があります。2016年にソロ男プロジェクトが実施した調査(1都3県の20代から50代の男女520人が対象)では、「単独で仕事をする方が向いていると思う」という設問に対して、ソロ男は64.2%、ソロ女は58.6%と6割がイエスと回答。既婚男女が4割以下なのに対して、圧倒的に単独仕事を好むのです。

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