ノルウェーの物価高に仰天、欧州経済から米国経済を思う


 今年の夏、シリコンバレー在住の筆者は、ノルウェー、スウェーデン、英国を旅行した。ユーロや他の欧州通貨に対しドルが弱いとは知っていたものの、正直、ノルウェーの物価高には驚いた。ホテルの狭いペントハウスが1泊約32万300円(あまりに高いので、クレジットカードチョイスホテルのポイントを使った)。そしてハンバーガー1個が約1000円。家族4人で取ったサーモン、ハンバーガー、ワインボトル1本等の簡素な夕食が2万円近かった。日本人旅行客も「デパートのトイレに入るだけでお金は取られるし、オスロの日本料理屋のラーメン1杯が2000円。レンタカーもめちゃくちゃ高い」とこぼしていた。

ノルウェーの物価がこれほど高いのは北海原油を産出しており、その富を国民に与えるべく、高税率、高福祉という生活水準の高さが行き渡っていることが、その理由。

鉄道関係の若い労働者の話だと、給与は月約40万円でも「3割以上が税金だ」とこぼす。ただ、教育費は無料で、医療費の自己負担も安いらしい。

2002年に1,900億ドル強だったノルウェーのGDPは、2006年には1.76倍の3,350億ドル強まで増えた。ノルウェーはスウェーデン、フィンランド、デンマークの先を行く物価状況だ。ノルウェーはいまや、北欧で最もリッチで物価高の国なのだ。

スウェーデンも物価は高かったが、簡素な夕食が2万円までにはいかなかった。同国はEUに加盟していないため、ギリシャ、スペインからの労働者からではなく、高賃金を求め、ブルガリア、アフリカ、アジア諸国からの季節労働者たちに多く出くわした。福祉政策を充実して格差拡大を防ぐと共に、経済成長を遂げているノルウェーの今は良いが、先行き、ノルウェーの北海油田が枯渇したらどうなるのだろうか。
 
 オスロ、ストックホルムから英国に格安チケットで飛んで一息。イギリスのB&B(朝食付きのホテル)に子供と大人向けの2部屋2泊して約4万円。お昼に1人600円で盛りだくさんに満足にレストランで食べられる米国と比べると、イギリスのレストランのランチはサラダとメインディッシュで約1500円から2000円。やはり高いのだが、ノルウェーに比べるととても安く感じる。

地元のニュースによると、イギリス景気の見通しは急速に今四半期、悪化したそうで、今までの好調な景気から財務大臣が60年来の景気後退へと最も悪いかも、と述べる。英国中央銀行の最近のインフレレポートでは「個人所得と個人消費が落ち、住宅市場も悪化し、需要も落ち、それはビジネスと住宅投資の落ち込みにつながる」そうだ。ちなみにドイツ、フランスを始めとするユーロー経済圏も物価高から、個人消費が落ちていると欧州中央銀行がいう。ドイツ連邦銀行は原油高のインフレ影響を指摘する。

欧州からの帰途、多くのヨーロッパ人観光客らに遭遇。ファストフード店で1人99ドルで食事可能で、約40ドルの安モーテルで泊まる米国の物価安を求めてのこと。米国は物価の点だけみると、欧州各国の視点からでは、既に先進国レベルではなく、新興国レベルに落ち込んできているのではないかというのは言い過ぎだろうか。

サブプライムに端を発した住宅市況の落ち込みに悩む米経済だが、米政府は政府系住宅金融機関のファニーメイとフレディマックを政府管理下に置くことを決めた。また、今年11月、大統領選を迎える米国。共和党にせよ、民主党にせよ、どちらの候補者が当選するにせよ、世界経済不況にならないよう政治と経済の舵取りをしっかりして欲しいものだ。
(Ayako Jacobsson =東洋経済オンライン)

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