APIエコノミーの衝撃

デジタルプラットフォームを制するモノが未来のビジネスを制す!

急速に進化するフィンテックを考える「FinTech Day2017 APIエコノミーの衝撃」が9月、東京・中央区で開かれ、金融機関のオープンAPI(Application Programming Interface)を中心に今後のあり方を議論した。
主催:東洋経済新報社 特別協賛:日本アイ・ビー・エム

基調講演
フィンテックの衝撃と日本への示唆

福田 慎一氏/東京大学大学院 経済学研究科 教授 

東京大学大学院教授の福田慎一氏は「『銀行業は必要だが、銀行は必ずしも必要ではない』という20年以上前の”予言”が現実になりつつある」と述べた。フィンテックは米・シリコンバレーのベンチャーを中心に発展。英国、シンガポールでは政府が積極的に推進している。日本は昨年、銀行法等を一部改正して銀行グループがフィンテック業界に参入しやすくするよう規制を緩和。金融機関も危機感を持って取り組みを急いでいるが、人材面を中心に出遅れは否めないとした。テクノロジーの魅力は利便性向上と低コスト化だが、金融業領域はお金を扱う性格上、安心も重要。「安心安全ときめ細かなサービスという日本の得意分野を生かし、政府、金融機関、ベンチャーが一体で取り組めば、日本勢にもチャンスはあるのではないか」と語った。

IBM講演I
オープンAPI基盤の活用とその将来

羽川 茂雄氏/日本アイ・ビー・エム金融サービス事業部銀行・FMインダストリーコンサルティングコアシステム・トランスフォーメーション部長 

IBMの羽川茂雄氏は、顧客ニーズに寄り添う金融サービスへの転換の必要性を強調。自前での発想には限界があるとして「APIを介して自行の機能を開放し、顧客満足度の高いサービスを提供できる外部のフィンテック企業等との協業も選択肢の一つとして模索すべき」という考えを示した。多くの金融機関にとって、最大の関心ごとであるAPIバンキングの収益化については、課金モデルに課題があると指摘。外部企業が収集した顧客データを自行のマーケティングに活用するなどしてビジネスモデル変革に生かすべきと述べた。また、API化は、ユーザー・インターフェースの開発を外部企業に任せることも可能にしている。スマホやタブレットからVRやスマートスピーカー等へデバイスの移行が予想される未来には「オープンAPIは銀行にとって欠かせなくなるはず」と対応を促した。

特別講演I
Digital Innovation”みずほ”の取り組み

山田 大介氏/みずほフィナンシャルグループ常務執行役員デジタルイノベーション担当役員

みずほFGの山田大介氏は、最新テクノロジーで次世代ビジネスモデル創造を目指すインキュベーター会社、Blue Labの取り組みを紹介。トレードファイナンス領域では、関係者間で都度受け渡している書類を、アップロードしてブロックチェーン技術を利用して全関係者で共有する、事務効率化、コスト削減を目指したスキームを説明した。8兆円とも試算される、現金取り扱いコスト削減に向けた、全邦銀共通電子マネー「Jコイン」構想や、ビッグデータとAI解析による与信モデルなど、20のパイプラインを列挙。これらの要素を組み合わせ、顧客行動をAIで予測、洗練された対応を可能にするデジタルバンクといった未来像にも触れ、「Blue Labでは柔軟に面白そうなことを追求していきたい」と述べた。

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