最強の「データ分析」

無敵のデータ分析力を手に入れたとき、企業戦略は大きく変わる

データ活用がビジネスの成否を分けるデジタル・トランスフォーメーション時代に、企業が備えるべきデータ分析力を考える「データアナリティクスカンファレンス最強の『データ分析』」が9月、東京・千代田区で開かれた。開会あいさつで、東洋経済新報社の田北浩章・常務取締役は「厳しい環境にある、われわれ出版業界もウェブサイトへのアクセスデータを分析し、読者視点の雑誌・書籍づくりが求められている」と述べた。
主催:東洋経済新報社 特別協賛:日本アイ・ビー・エム

特別講演
The Trinity-How to enableAnalysis Capability?

森岡 毅氏/元ユニバーサル・スタジオ・ジャパンチーフマーケティングオフィサー(CMO)

USJの入場者を2010年の入社から6年間で2倍の1460万人に増やしたマーケターの森岡毅氏は、自身のダイエット体験に言及。運動、食事等の因子と、体重という結果の間にある関数を解明し、成功したことを明らかにして「ビジネスでも、望ましい結果を出すために因子をどうすればいいか、について関数をつくれる」と語った。分析力は、データ、分析スキル、分析目的を明確にするジャッジメントの三位一体(トリニティ)で、企業に正しい選択をさせる情報生産力であると定義。データの取り方が変わっても一貫性を担保できるよう文脈も含めて、質の高いデータを蓄積するリサーチャー。文脈に合わせて分析ツールを使いこなすスキルを持つアナリスト。そして、ビジネスを伸ばすための仮説を立て、分析目的を定めるジャッジメントができるマネジメント――の三つの力のかけ算で分析力は決まるとして、3要素をそろえることが必須と強調した。また、データ取得、分析を内製化できるように社内に欠けている人材を外部から招聘し、マーケティング分析の結果をアクションに生かせる組織構造に変革するための戦略的人事の重要性を訴えた。17年1月にUSJを退社した森岡氏は「マーケティングは、社外秘部分が多く、ケーススタディを伝えにくいため、なかなか広がらない。さまざまな専門領域の仲間が持つ暗黙知的な能力を形式知化して提供し、戦略的人事のアドバイスも含めて会社を変えるプラットフォームをつくることで、日本に貢献していきたい」と今後の目標を語った。

IBM講演
AI時代の幕開け

武田 智和氏/日本アイ・ビー・エムグローバル・ビジネス・サービス事業本部パートナー アナリティクス・ソリューションリーダー

IBMの武田智和氏は、人の決めたルールに基づいてデータを処理していた従来のコンピューティングに対し、AIで言葉など構造化されていないデータも含めて理解、学習し、それに基づいて処理を行う新しいコグニティブ・コンピューティングの概念を紹介した。デジタル化の進展で、構造化データに加えて非構造化、社外、IoTといった多様なデータが活用でき、分析も基本的なものから、AIを使う高度なものまでさまざまな手法を選べると説明。話すおもちゃを介して、子どもが話した内容を分析、興味を持っている分野等を可視化して両親に伝えるビジネスを例に「新たな顧客体験の創造、企業の競争優位確立にはデータ、分析テクノロジーが重要」と訴えた。今は、SNSやメールの情報から性格、価値観をAIが分析する「パーソナリティ・インサイト」に、インフルエンサー分析、行動分析なども組み合わせるマーケティングのアプローチも可能になっている。武田氏は同社のジニー・ロメッティCEOの「データは21世紀の新たな天然資源」という言葉を引用して、データ分析への積極的な取り組みを企業に促した。

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