「オワハラ」で他社の内定辞退を強要する実態 就活生はこうして誓約書や言質を取られた

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次にわかるのは、オワハラと感じる学生がもっとも多かったのは2016年卒の学生だったが、その後の減少はわずかで、ほとんど変わっていないと言ってもいいこと。改善の傾向は見られず、おそらく2019年の新卒採用でも変わらないだろう。

オワハラを感じる学生は意外に少ない。「学歴フィルター」に関する調査では、約半数が「ある」と回答した(詳細はこちら)。「サイレントお祈り」については、多数の就活生が「連絡してほしい」との声を上げている(詳細はこちら)。が、オワハラを感じる学生は、文系で3割未満、理系で2割未満である。

オワハラを感じる学生は、内定(ないし内々定)を受ける段階まで進んでおり、しかも人事から見て「この学生は他社にとられるかもしれない」と感じさせる就活生だ。そういう一部の学生だけがオワハラを体験するため、少ない理由になっていると思われる。

「第一志望でないと内々定を出せない」

コメントを見ると、オワハラでもっとも多いのは、「他社辞退」と「内定」との交換取引だ。たくさんの企業が「就活を辞めれば内定を出す」と学生に迫っている。そして入社誓約書を書かされるケースがとても多い。

「オワハラとまではいかないが、入社誓約書の提出の時期がとても早く、満足に就活を終えられる時期ではなかった」(関西大学、文系)

「第一志望でないと内々定を出せない。他社辞退をしてほしいと言われた」(東洋英和女学院大学、文系)

「他の選考が進んでいた企業を辞退するように言われ、誓約書を書かされた」(明治大学、文系)

「他社への就活をやめなければ内定を出さないといわれた」(神戸大学、文系)

「最終面接のあとに実施された個人面談で、内定が出たら他の企業の選考はもう受けないでほしい、それが信頼関係だから、という内容のことを言われた」(立命館大学、文系)。

時期も学生を悩ませ、オワハラにつながっているようだ。多くの就活生は、内定が確定するのは6月1日以降だと考えているが、選考はもっと早く進んでおり、早い時期に就活終了を打診されている。企業側も6月1日以降に内定を出す大手企業よりも先に、学生を囲い込むことに躍起だ。

「4月後半にも関わらず、2週間以内に結論を出してくれと迫られた」(成城大学、文系)

「5月なのに内々定ではなく、内定しか出してもらえず、内定承諾書にサインしたら、100パーセント入社してほしいと言われた」(藤女子大学、文系)

「5月から内定者研修が始まるため、3月末に内定が出て、4月中旬までに10日ほどで承諾をするかどうか、決めなければならない」(駿河台大学、文系)

もし企業からの「就活終われ」メッセージを無視するとどうなるか。落ちるのだ。

「最終面接で他社状況を全て聞かれ、内定が出てもすぐには答えを出せないと言ったら、不合格になった」(明治大学、文系)

「役員との最終面接のあと、人事とのお話しタイムがあり、そこで正直に迷っていると伝えたところ、お祈りされました。今思うと意思確認だったのかもしれません」(早稲田大学、文系)

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