JR東日本の新幹線「一番稼げる」のはどこか 独自試算!JR北海道・東日本の営業係数

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JR東日本の新幹線で一番稼げるのはどの路線か(写真:尾形文繁)

筆者が例年発表しているJR各社の路線ごとの営業係数を試算した結果は、おかげさまで各位に受け入れていただいている。

100円の収入を上げるために要した費用を示す指標である営業係数は、JR各社全体の数値までは公表されたデータから導き出せる。さらに各路線の営業係数を試算するには、収入と費用とを一定の考え方によって分配すればよい。収入、費用とも、輸送規模によって変動する項目を旅客人キロの比で、路線が存在するだけで生じる固定的な項目を、営業キロの比でそれぞれ分配した結果、各路線の営業係数の推測値が得られる。

精度の高い試算が可能に

近年、一部のJR旅客会社は各路線の営業状況について、より詳しい数値の公表を行うようになった。各路線の旅客運輸収入や、一部の路線に関しては区間ごとの旅客輸送密度(平均通過人員)を示すという具合だ。旅客輸送密度は年間の旅客人キロを年間の延べ営業キロで除した数値であるから、営業キロと営業日数とがわかれば旅客人キロを容易に算出できる。こうしたデータによって営業係数の試算値の精度は大きく上がることは言うまでもない。

JR東海を除くJR旅客会社5社からは詳細な旅客輸送密度が発表されており、さらにJR北海道を除く4社からは路線ごとの旅客運輸収入も示されている。そこで、今回は5社については2016年度の数値、JR東海、JR貨物の両社については「鉄道統計年報」の2014年度の数値を使用し、それぞれ5年前の数値と比較することとした。

今回は、JR北海道とJR東日本についての試算をお目にかける。

なお、営業係数を求めるに当たり、「鉄道統計年報」に基づかないJR東海以外のJR旅客会社の営業収入は全額旅客人キロの比で各路線に分配した。運輸雑収や線路使用料収入といった、旅客運輸収入以外のその他の収入を営業キロの比で分配すると、旅客輸送密度が極端に低い路線ではその他の収入が旅客運輸収入を大幅に上回るという明らかに不正確な結果が得られるからだ。

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