年収1200万円の35歳女子が外資を捨てた理由 「体調不良でも無理して仕事」は、もうやめた

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Tさんの状況を聞き、無理をして現在の仕事を続けていくよりも、ほかの選択肢がないか、真剣に考えるほうがよいだろうと思いました。すでにTさんも次の仕事について考えていたようなので、聞いてみました。

するとTさんは、「できれば、あまりパソコンを使わない仕事をしたいですね(笑)。得意な英語を生かして子どもに英語を教えたり、外国人に日本語を教えたりするのもいいかなと思っています」とのことでした。今まで第一線で活躍してきたので、少し休みたいという気持ちもあるようでした。

確かに、語学が得意で好印象のTさんには、向いている仕事だと思いますが、問題は収入が大幅に減りそうなことです。現在Tさんは、1200万円の収入を稼いでいるので、数百万円単位で収入が少なくなってしまうと、生活に大きく影響します。高収入をあきらめるというのは、なかなか思い切れないものです。

Tさんもそれはわかっていて、「今のような生活は送れなくてもいいけど、趣味の旅行を楽しんだり、友達と遊びに行ったりできるくらいの余裕はほしい」とのこと。そこで、以前から気になっていた不動産投資を始めてみたいとのことでした。

「不動産投資で家賃収入」という選択は正しいか

なぜ、Tさんは不動産に興味を持ったのでしょうか。実は、職場には時折、不動産投資会社から営業の電話がかかってきていました。実際、Tさんの職場の同僚の中にも不動産投資をやっている人が多く、体調不良だったTさんは、「家賃収入」というキーワードが気になっていたとのこと。

「家賃収入だけで30万円以上入れば仕事を変えてもそれなりの生活はできる」と考えたTさんですが、ワンルームマンションに投資をしても、ローンを返済した後の月々の手取りは微々たるもの。物件によっては、毎月数万円の持ち出しになるものも多く、これでは不動産投資をする意味がありません。

そこで、Tさんは、毎月数十万円の収入を手にするために、アパートへの投資を考えました。部屋数はさまざまですが、アパートを1棟丸ごと買うか新たに建てようというわけです。とはいえ、アパートへの投資はワンルームマンションを購入して貸すことよりもハードルが高く、融資の金額も億単位になるので、1度失敗してしまうとその物件は大きなお荷物になってしまいます。そこで、Tさん、信頼できる不動産業者さん、私の3人で、資金計画から物件選びまで何度も慎重にミーティングを重ね、アパートへの投資をスタートさせました。

住宅ローンを組み、首都圏のある中古アパートを1棟買って経営に乗り出したのですが、ローン返済後の手取り収入は35万円程度になりました。これでひとまず、転職しても少しはゆとりがある生活を送れると安心したTさんは、転職を決意しました。これからは少しゆっくりしながら子ども向けの英会話教師になろうと、転職活動をするとのことです。現在は、つらい頭痛に襲われることも少なくなり、だいぶ体調が回復してきているようです。

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