トランプ周辺が危惧する「第3次大戦」の悪夢 金正恩との挑発の応酬は衝突を招きかねない

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日本では、コーカー氏が、ホワイトハウスについて、「大人の保育園」だとツイートした事実自体は報じられていたが、なぜ彼がそう語ったのかという中身についてはほとんど報道されていないように思う。重要なのは、コーカー氏がそう考えた中身のほうだ。

「トランプ大統領をどうやって封じ込めるか」の毎日

コーカー氏が語った内容は以下のようなものだった。

・ホワイトハウスでは、毎日が、どうやってトランプ大統領を封じ込める(contain)するか、という状況になっている。
・幸いにして、現時点では、いい人々(※筆者注:レックス・ティラーソン国務長官、ジェームズ・マティス国防長官、ジョン・ケリー・ホワイトハウス首席補佐官のことを指しているとみられる)が周囲にいて、大統領の最悪の直感を、押さえ込んでいる。大統領が、道の真ん中から外れていかないように、周囲は大変な苦労をしている。
・共和党の議員の大半は、ホワイトハウスがそうした事態に陥っていることを知っている。

こうしたコメントのあとで、記者から、「米国は(トランプ氏の言動で)危険にさらされているのだろうか」と、聞かれたコーカー氏は、こう答えた。

「彼自身は認識していないだろうが、彼が口にしているようなコメントを続けていると、われわれは、第3次世界大戦へと向かっていく可能性がある(And, you know, he doesn’t realize that, you know, that we could be heading towards World War Ⅲ with the kinds of comments that he’s making)」

米上院の外交委員長から、「第3次世界大戦」という言葉が飛び出すのは、非常にショッキングといえる。コーカー氏の言葉は、トランプ氏が金正恩氏を「ロケットマン」などと呼び、挑発的な言動を繰り返していることが、外交的な解決の道を閉ざしていき、米国が軍事行動へと向かいかねないことを示唆していた。

トランプ氏のこうした言動については、日本国内でも、「トランプ氏は意図的に挑発的・攻撃的な言葉を言い、ティラーソン国務長官は対話路線を掲げることで、トランプ政権は役割分担をしているのだ」という見方がある。コーカー氏はこうした「よい警官と悪い警官」論についても、「そうした見方はまったく違う」と全否定し、役割分担などなく、トランプ政権内が単純に混乱しているだけだ、という考えを語った。

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