「データの有効活用」でマーケティングが変わる

莫大なビッグデータを無駄にしないために

テクノロジーの発達により、質・量ともに膨大なデータが日々、倍数的に蓄積されていっている。こういったビッグデータへの分析の期待が高まる一方で、その活用方法については正解を見出せずに頭を抱えている企業も多いのが現状だ。そのままでは途方にくれてしまうようなビッグデータを画期的なイノベーションにつなげるには、どのような活用方法が有効であるかを探った。

コンピュータやストレージの性能向上により大量・高速なデータ分析が容易に

― ビッグデータという言葉を聞く機会が増えています。そもそもビッグデータにはどのような特徴があるのでしょうか。また、最近になって注目されるようになった背景はどこにあるのでしょうか。

及川 ビッグデータの特徴を表すキーワードとして「3つのV」があります。最初のVは「ビッグという名に示されるようにデータの「量(volume)」です。ユーザーがスマートフォンを持ち歩くだけでも膨大な量の情報が生まれます。2つめのVはデータの「多様性(variety)」です。データの内容が、SNS(交流サイト)のつぶやきや写真・動画投稿など多角的なデータも含まれるようになりました。そして、3つめのVはデータの「速度(velocity)」です。スマートフォンやSNSの普及などにともない、データはリアルタイムで発信され、短時間で拡散するようになりました。

及川直彦
世界最大のクラウド予測ソフトウェアを提供するAPT(アプライド・プレディクティブ・テクノロジーズ )社で シニアバイスプレジデントを務める。電通で、広告・企画立案に携わった後、ネットイヤーグループの事業立ち上げに参加。マッキンゼー・アンド・カンパニーで経営戦略の構築などに携わった後、2006年、電通ネットイヤーアビームを創業。2010年に同社を継承した電通コンサルティングを設立、代表取締役社長に就任。2013年より、現職

また、最近になって、ビッグデータが注目されるようになった理由として、18カ月ごとにコンピュータの処理能力が2倍になるという「ムーアの法則」や、それよりも早いペースで増加するストレージ容量にあるようなサーバーの性能向上を挙げることができます。大量の情報の収集や分析が高速かつ安価にできるようなったことで、その活用が注目されるようになりました。

― POSデータを利用した顧客行動分析などはかねてから行われていました。ビッグデータで何が変わるのでしょうか。

及川 POSデータもビッグデータの一種です。これまでとの大きな違いは、前述したように、コンピュータの性能向上により、多様なデータ間の相関関係を容易に検証できるようになったことです。たとえば、従来は「あるお客様がAという商品を購入した」ということしかわかりませんでしたが、位置データや画像データなどを分析すれば「B商品にすべきか陳列棚の前でかなり迷った結果、A商品を選んだ」といったことまでわかります。

ビッグデータ活用の効果として、「インサイト(洞察)系」と「意思決定系」の2つに大きく分けることができます。「インサイト系」は、たとえば、ビッグデータを活用し、消費者の属性や行動、意識を分析することで、消費行動のストーリーを導き出し、ニーズに応える商品・サービス作りにつなげていくことです。「意思決定系」は、商品の導入や価格設定、広告・販売促進などの施策が意思決定にどのようなインパクトをもたらすかを予測し、施策の投資対効果の判断などに役立てるものです。

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