スマホ3位「ファーウェイ」、掟破りの経営力 社内のエリートを社員自身が選抜する仕組み
秋になり、スマートフォンの新製品が次々と発売されている。
アップルはiPhoneシリーズに「8」と「X」(11月発売)を投入した。グーグルもAI(人工知能)機能に最適化した純正スマホ「Pixel2」を発表。現在のところ日本での発売予定は明らかになっていないのに、ガジェット好きの注目を集めている。こういった中、無視できない存在として浮上しているのが、中国・華為技術(ファーウェイ)だ。
世界のスマホ市場におけるファーウェイのシェアは、直近の2017年4~6月期で9.8%(ガートナー調べ、以下同)。サムスン電子の22.5%、アップルの12.1%に続く世界3位だ。前年同期と比べると、ファーウェイのシェアが0.9ポイント増だったのに対し、サムスンは0.1ポイント増、アップルは0.8ポイント減。この勢いが続けば、今後1~2年でアップルを上回り世界2位になる可能性がある。
日本ではファーウェイのスマホは、NTTドコモなど大手通信事業者では取り扱いがなく、SIMフリー機や楽天モバイルなどMVNO事業者の機種として販売されている。このため、世界3位の存在感を日本人消費者が実感する機会は少ない。だが、通信業界関係者の間では「高機能でデザインが良く、故障率が抜群に低い。製品として格段に優れている」(ファーウェイ端末を扱うMVNO・NTTレゾナントの鈴木基久事業部長)といった評価が定着しつつある。
「5年でトップ3入り」を実現
ファーウェイがスマホを本格展開し始めたのは2011年。シェアは2.3%で世界8位だった当時に、「5年でトップ3入り」という高い目標を掲げた。上位にはノキアやHTCといった大手ブランドがあり、当時のファーウェイの製品力・ブランド力では過大とも思える目標だったが、結果としては達成してしまった。
成長の理由はお膝元の中国でスマホ需要が拡大したことが大きい。だがカメラの名門・ライカと開発したハイスペックスマホ・Pシリーズと、honor(オナー)シリーズは、欧州や日本、アジア各国でも高評価だ。
祖業の通信設備も、成長分野のモバイル通信向けが世界首位などで盤石。スマホや通信設備などを含む全社売上高は、2016年で8.7兆円。ソニーやパナソニックより大きく、ソフトバンクグループをやや下回る企業規模だ。従業員数18万人、年間の研究開発投資額1.27兆円という数字から、その巨大さがわかるだろう。この巨大な成長企業をコントロールするのが、世界的にもユニークな企業統治のあり方だ。
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