日本企業は「CSR」を見直す時期を迎えている これから必要なのはサステナビリティ
ゲリラ豪雨や猛烈な台風など頻発する異常気象、逼迫する資源……日々の生活の中で、いつの間にかこうした「大きな動き」の影響を受けることが増えている。「このままだったら地球はどうなってしまうのだろうか……」と心配になることもあるだろう。
こうした中、関心を集めているのが、「サステナビリティ」という言葉だ。日本では「持続可能性」と訳されることが多いが、要は、地球や社会環境を保ち続けられるようにしよう、という考え方だ。たとえば、森林伐採を防ぐために紙を再利用したり、その土地で栽培されたものを食べる「地産地消」もこれに基づいた活動といえる。
米国や欧州ではこうした活動は活発で、積極的にサステイナブルな事業や活動を行っている企業の評価は高い。一方、日本では、こうした活動はCSR(企業の社会的責任)にひも付けられ、いまだに社会的貢献という色合いが強い。が、今後はこうした異常気象などの「脅威」が経営戦略の転換によっては、ビジネスチャンスになりうる、と説くのは『ビッグ・ピボット―なぜ巨大グローバル企業が〈大転換〉するのか』の著者のアンドリュー・ウィンストン氏だ。同氏は、ユニリーバやPwCなど多くの企業に対してアドバイスを行うサステナビリティのエキスパートでもある。
日本でもサステナビリティをビジネス化している企業がある。衣類やプラスチックなどをリサイクルする仕組みづくりを行う日本環境設計もその1つだ。同社は、古着から作った燃料で、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にタイムマシンとして登場するデロリアンを実際に走らせ、世界からも注目を集めた。来日したウィンストン氏と、同社の日本環境設計の髙尾正樹社長に、サステナビリティのビジネス的可能性と最前線について語ってもらった。
CSRという概念は欧米ではもう古い
髙尾:ウィンストンさんは長年、企業に対してサステナビリティに関するコンサルティングや講演をされてきたのですよね。その中で感じている変化はありますか?
ウィンストン:大きな変化は、サステナビリティの担当者ではなく、マーケティングや生産部門のトップ、最高財務責任者(CFO)から依頼を受けるようになったことですね。5年前だって彼らは、サステナビリティという考え方自体知ってはいたはずです。でもここ最近になって、真剣にこのテーマを経営にかかわる「現実のもの」として聞くようになった結果ではないでしょうか。
髙尾:僕らも10年間サステナビリティ業界でやってきたなかで、同じ変化を感じています。クライアントの担当部署がCSR部門から、生産部門に変更されることが多くなってきました。
ウィンストン:そうそう、CSRと聞いて思い出しましたが、日本に来てCSR部門のある企業が多いのは気になっていました。正直言って、個人的にはこの言葉は好きではないんです。欧米では一般的にみてひと昔前の印象がする言葉です。
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