ユリノミクスに滲み出る「天下取り」への野望 もはや衆院選出馬への歯車は止められない?

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そもそも小池知事は、「次期衆院選での出馬はない」と断言している。民進党の前原誠司代表が強く出馬するよう説得したにもかかわらず、頑として受け入れなかった。

にもかかわらず、「ユリノミクス」とは、あたかも小池知事が国民と約束するかのような名称である。やはり小池知事はぎりぎりのタイミングで衆院選に出馬するのではないか。さもなければ、「ユリノミクス」などと自分のファーストネームを入れ込んだ公約を掲げはしないだろう。

都議会公明党との微妙な関係

都議会の最終日である10月5日、多くのことが動いた。

国政で自民党と連立を組む公明党は、小池知事の国政転出に強く反対してきた。小池知事が9月25日に希望の党代表に就任した時、連携の解消も囁かれた。だがここに来て、連携の解消はなくなった。理由は都議会の最終日に、公明党が推進してきた「子どもを受動喫煙から守る条例」が本会議で可決されたことだ。さらに22年ぶりに女性副知事を登用する人事案が了承されたことも、その一因となっている。

新副知事に就任予定の猪熊純子会計管理局長は、1981年に一橋大学を卒業後に東京都庁に入庁。父は公明党の参議院議員を2期務めた故・猪熊重二氏である。

「受動喫煙条例と女性副知事人事で、小池知事がすり寄ってきているのは明らか。こちらとしても、都政の安定を考慮しなくてはいけない」。ある都議会公明党関係者は「連携維持は苦肉の策」と説明した。

「苦肉の策」との表現に表れているように、都議会公明党と小池知事との間には、かつてのようなハネムーン関係はないようだ。会期末の10月5日、小池知事は各会派の控室をまわって挨拶したが、公明党の控室では都議たちは拍手をもって出迎えず、握手もなかった。小池知事も「みなさん、素晴らしいご活躍、有難うございました」などと簡単に挨拶した後、さっさと立ち去っている。

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