トヨタ「クラウン マジェスタ」の葛藤 レクサスともせめぎ合う“最高峰”、6代目に刷新

拡大
縮小

一方、トヨタにとってマジェスタは悩ましい存在でもある。新型マジェスタの開発責任者である、製品企画本部の秋山晃主査が言う、「立ち位置が曖昧になってきた」というコメントがそれを象徴している。

内装は木目調でやや保守的なデザインにも見える

マジェスタが初登場した1991年はバブル崩壊後とはいえ、日本経済がまだ活気にあふれていた頃だ。ベース車であるクラウンも同様だが、販売台数はバブル期に絶頂を極め、その後は低落傾向をたどってきた。モデルチェンジのたびに少し盛り返しても、長期的なトレンドで見れば、販売台数は右肩下がりで推移してきた。

法人需要7割で、既存クラウン客が中心

マジェスタの累計販売は23万台を超えるものの、「ここ5年間の平均月販台数は170台ほど」(トヨタ店営業部の河野晋哉・販売計画室長)とやや寂しい。従来のマジェスタやロイヤルなど、クラウンシリーズからの乗り換えが大半で、社用車やタクシーなどの「法人需要が7割程度を占める。ミディアム(中級車種)からの乗り換えはあまりない」(河野氏)。新型でも同様の傾向が見込まれるという。

一方、運転手付きで乗る「センチュリー」を除けば、マジェスタには上位車種として「セルシオ」がもともと存在していたうえ、2004年以降は、トヨタが高級車ブランド「レクサス」を国内にも導入。ドライバーズカーとしての最高級モデルは、セルシオ後継の「LS」(車両本体価格870万~1370万円)が担っており、その下に位置する「GS」の価格帯も510万~800万円と、マジェスタと一部重なり合っている。

次ページマジェスタから乗り換える客はどこへ?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT