「ネット終活」で東証1部昇格、鎌倉新書の挑戦 楽天の元役員を新社長に招聘、成長を加速へ

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「60代以上の方や、その家族が必要なサービスをすべて取りそろえ、1つの”社会インフラ”となりたい」と、相木氏は長期的なビジョンを語る。そのうえで、「既存事業を拡大させるだけでも売り上げ、利益規模は現在の10倍になってもおかしくない。そこに新規事業が加わわれば成長スピードは加速する」と、自信を見せる。

主力サイト間の顧客情報共有が課題

もちろん、ネットビジネスとして改善すべき課題もある。たとえば、葬儀や墓、仏壇のそれぞれのサイトに来た顧客の情報が内部で共有化されていないため、機会損失が生じている。「サイトごとに改良を積み重ねてきた一方で、サイト間の連携が十分ではなかった」(相木氏)。IDによる顧客情報の有効活用は、今後の成長にとって必要不可欠だ。

多数の取引先を全国的に開拓してきた実績はあるものの、会社やサイトの一般的な知名度も、まだまだ高いとはいえない。「広告宣伝などのブランディングを強化していくと同時に、それによって生じる大量アクセスにも耐えられるよう、システムの整備もさらに進めたい」(相木氏)。

相木孝仁社長は、優秀な技術者確保のために奔走している(撮影:尾形文繁)

人材確保も不可欠だ。「人と会うたびに、『うちの会社は事業そのものに大きな社会的意義があるし可能性がある。いま入社すれば自分の力で会社を変えることもできる』とアピールしている」と相木氏。急速なデジタル化の進展を受け、技術者の確保はネット企業に共通する最重要課題。「新卒、中途ともに優秀な人材を獲得し、育てていくことが自分の大きなミッションだ」。

「清水会長は天才的なひらめき型。自分はバリバリの体育会系。タイプが違うところが、かえっていいのではないか」。相木氏は今の経営体制をそう自己分析する。今後はより長期的な視点から経営に関与していくという清水氏との二人三脚で、「ネット終活」ビジネスの拡大に挑む。

三上 直行 東洋経済 記者

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みかみ なおゆき / Naoyuki Mikami

1989年東洋経済新報社入社。これまで電機などを担当。現在は、冠婚葬祭業界を担当。

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