AIは就活生をどこまで「便利」にするのか レコメンドで補助、自己PRもしてくれる時代

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学生のみなさんには、「自分の未来はどうありたいのか」に、とことん向き合って欲しい。そして、いかにして学生の手間を削減しつつ、1人ひとりの興味・関心に合った企業選択に注力する環境づくりをサポートできるかということが、「リクナビ」サービスを企画するうえでの大きな課題だと考えていました。

当時は学生に選択肢を提案するための手法として、「人との出会いが多い仕事」など、学生が興味・関心を持ちそうな切り口を編集部が考え、該当する企業を人手でピックアップして、「特集」として紹介していました。しかし、特集に注目させるためには大手・有名企業を前面に出す必要もあり、結果、それらの企業にプレエントリーが偏ってしまうという矛盾にジレンマを感じていました。

そうした課題の突破口として注力したのが、機械学習を活用した「企業のレコメンド(推薦)機能」と、「画面のパーソナライズ機能」です。

学生の行動ログを解析し、合う企業を表示

レコメンドにおいて私たちが着目したのは、学生の「まずは大手企業を一巡してから、徐々に中小企業を検討先に加えていく」という特性です。

これに着目し、これまで蓄積してきた学生のリクナビ上での企業閲覧を含めた行動ログから、「業種」「地域」「従業員規模」という3つの要素の傾向を特定。次に、学生が閲覧しそうな企業をおすすめする、というロジックを作りました。

「画面のパーソナライズ」については、学生個人のプレエントリー傾向をもとにした「おすすめ企業」を基本に、就活の時期に合わせ、「もうすぐ締め切りになる企業の中であなたに合った企業」「夏採用を開始した企業の中であなたに合った企業」などを、プレエントリーの件数や時期に応じて表示することを行いました。

これらの機能を取り入れた「リクナビ2014・2015」では、それまで大手・有名企業に偏りがちだったプレエントリーの傾向が大きく変わりました。求人倍率が上昇し、売り手市場となる中で、中小企業へのエントリーを拡大させることに成功したのです。

しかし、この仕組みだけでは、「社風」や「キャリアステップ」などの志向傾向までを網羅することはできませんでした。

この点を改善するために導入し、現在のリクナビで使用しているのが、「Word2Vec(ワードツーベック)」というロジックです。もともとは自然言語処理のロジックで、一人の人が書いた文章の「この人はXXという言葉と△△という言葉を同時に用いやすい」といった傾向を分析したりすることが可能な技術。これを「その人らしい企業リスト」を作ることに適用しました。

次ページ学生の志向を9割の精度で読み取れる
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