需給ギャップ、9年ぶりに1%超え1.22%に 先行きはさらに「プラス幅」が拡大へ

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 10月4日、日銀が発表した4─6月期の需給ギャップはプラス1.22%となった。プラスは3四半期連続で、水準が1%を超えるのはリーマン・ショック前の2008年1─3月期(プラス1.47%)以来、約9年ぶりとなる。写真は昨年8月、東京で撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京 4日 ロイター] - 日銀が4日発表した4─6月期の需給ギャップはプラス1.22%となった。プラスは3四半期連続で、水準が1%を超えるのはリーマン・ショック前の2008年1─3月期(プラス1.47%)以来、約9年ぶりとなる。

需給ギャップは日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差。国内総生産(GDP)から推計する内閣府に対し、日銀では、生産設備の稼働率や失業率・労働参加率などから試算している。

需給ギャップが3四半期連続でプラスになるのは、06年1─3月期から08年4─6月期まで続いた10カ月連続以来。

うちわけをみると、内外経済の回復による輸出・生産の増加を背景に、資本投入ギャップがプラス0.80%と1─3月期のプラス0.60%からプラス幅を拡大。労働需給の引き締まりが続く中で、労働投入ギャップも1─3月期のプラス0.15%からプラス0.43%に拡大した。

日銀は物価動向について、目標とする2%に向けたモメンタム(勢い)は「維持されている」と判断しており、背景には、需給ギャップの着実の改善によって「企業の賃金・価格設定スタンスは次第に積極化してくる」との読みがある。

日銀では、短観の生産・営業用設備判断と雇用人員判断を利用し、需給ギャップの擬似指数となる「短観加重平均DI(過剰─不足)」も作成している。それによると7─9月期がマイナス17.54、10─12月期がマイナス19.70に不足超幅が拡大する見通しで、先行きの需給ギャップはプラス幅がさらに拡大すると見込まれている。

 

(伊藤純夫)

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