上司は、「部下への伝え方」を間違うと最悪だ 意思・方針の伝え方には3つの原則がある

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話は伝わっていくほどに小さくなったり、まったく違った内容に変化してしまうものだから(写真:kikuo / PIXTA)

いくら立派な方針、経営理念をもっていても、それが単なるお題目にとどまっていたのでは、なきに等しいと思います。それらが、社員や部下の心のなかに入り、行動指針となってはじめて生き、また、社員や部下が育っていくということになります。

また、そこから、会社に人が育つ風土も生まれてきます。そのような方針や理念に限らず、誰でも自分の思いを伝えるということはなかなか難しいことだと思います。自分はこういうことを言いたかったのに、それが伝わらなかったという経験をお持ちの方は結構多いのではないでしょうか。

さまざまな解釈がある

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その理由はいろいろあるでしょうが、まず、「レベルの違い」というものが考えられます。体験の豊富さのレベル、知識の高さのレベルが異なれば、当然、思いは伝わりにくい。人生経験豊富な大人が小学生に、高尚な人生論や人生哲学を説いたとしても、おそらく小学生にはわからない。ノーベル賞を受賞した科学者が私たち素人に専門の話をしてくれたとしても、普通、私たちには理解できません。

また、ひとつの言葉も人によって受け止め方が異なることもあります。昔の狂歌に「手を打てば 下女は茶を汲(く)み 鳥は立ち 魚(うお)は寄り来る 猿沢の池」があります。奈良にある猿沢の池のほとりの茶屋の床几(しょうぎ)に腰かけて手をたたけば、茶屋の女の人は自分が呼ばれたと思い、お茶を汲んで持ってくる。鳥は追い立てられたと思い、バタバタと飛び立つ。池のコイは餌がもらえるのではないかと寄ってくる。このように、同じ手をたたく音を聞いても、それぞれの立場によって解釈が違うということです。

さらに言い間違い、聞き間違いがある。そのために、受け止め側がまったく違った受け止めをすることもあります。自分はそういったつもりでも実際には、無意識に違ったことを言っている。たとえば、簡単なことですが、「エビでタイを釣る」を一生懸命に話していると「タイでエビを釣る」と言ったりするのは、まだご愛嬌でしょうが、「これから私たちは、右の道を進む」というべきを「左に進む」と無意識に言い間違えるということはよくあることです。

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