「カネだけが評価基準」を打破するVALUの哲学 小川代表「ヒカル氏は将来戻ってきてほしい」

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小川晃平代表は「VALUのVAも、会社の株式も、本質は変わらないのではないか」と斬新な指摘をする(撮影:尾形文繁)
ビットコインをはじめとする仮想通貨取引が盛り上がりを見せている。中国などが規制に走る中、全世界の取引の40%を日本人が占め、もはや世界の中でも仮想通貨大国の地位を占めつつある。多くの人がビットコインに興味を持ち、買うきっかけになったサービスが、VALUだ。
FacebookやTwitterのフォロワー数などを基準に、個人の価値を判定し時価総額を算出。個人はこの価格を基準にVAという細分化された模擬株式を与えられて「上場」し、VALU内で売り出すことができる。ただ、このVAはビットコインでないと買うことはできず、法定通貨である円は使えないという点がポイントだ。株式にも似た仕組みだが、VAを購入したユーザーは、配当を受け取る権利や意思決定のための議決権などは持たない。
5月31日のローンチ当初はインフルエンサーの参入もあって盛り上がり、個人のVAも頻繁にトレードされた。また、8月に著名YouTuberのヒカル氏らが、VALUに参入することを表明し、期待が高まった。しかし、市場の期待が頂点に高まったところで、ヒカル氏らは自身が保有するVAを大量に売り出し、価格が暴落。損失を被ったユーザーが続出し、メディアにも大きく取り上げられた。
VALU社は、取引に関する制限を打ち出すなど、利用規約の改定によって消費者保護の姿勢を打ち出したが、かつての勢いは取り戻せていないように見える。今後の展開はどうなるのか、VALUの小川晃平代表に聞いた。

流動性を無理に高めようとは思っていない

――6月からの盛り上がりはすごかったですが、最近のVALUは一部の人を除いてVA(模擬株式)の流動性が枯渇しているように思います。今後、どのように対策を打ちますか。

「みなさん、VALUでもっと儲けてください」という考え方の会社だったら、流動性を高めてガンガン手数料を回していったほうがいいに決まっています。しかし、流動性を高めることは、必ずしもよいと思っていません。ユーザーが慣れるまでは、もう少しゆっくりやりたい。本気で流動性を上げるなら、取引制限をすべて撤廃したほうがいいのですが、あえてそうはせず、意図的に減らしている面もある。

短期間で取引される量が多くなると、どうしても新しい概念に理解がある人だけが勝ってしまう。最近ではICO(Initial Coin Offering)がブームになっていますが、これはトークンが取引所に上場されることで流動性が出るので、いろいろ危険なことが起こりそうだと思って見ています。本気の投機家、投資家からすると「つまらない」と感じられるかもしれませんが、VALUは徐々に裾野を広げたいと思っているので、ここは1回踏みとどまりたい。

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