だれが次期首相でも経済財政運営に大きな影響はない−−格付け大手・フィッチ マコーマック・マネージングディレクター

 だれが次期首相でも経済財政運営に大きな影響はない−−格付け大手・フィッチ マコーマック・マネージングディレクター

格付け機関大手、米フィッチ・レーティングのジェームス・マコーマック・マネージングディレクターは2日、東洋経済オンラインのインタビューに応じ、1日夜に福田康夫首相が突如辞任を表明した日本の政治情勢が今後の経済財政運営に与える影響について、「衆参ねじれ状態にある中では、(次期首相が)誰になっても、大きな影響はない」との見方を示した。マッコーマック氏は、GDP(国内総生産)に占める債務の比率が、日本は主要国で最も高い点を指摘。増税や歳出削減などの政策を打ち出すことが必要と強調した。主なやり取りは以下のとおり。

--福田首相が突如辞任を表明されましたが、今後の日本の経済財政運営へどう影響しますか。

「過去何人かの首相がとってきた財政再建策はあまり積極的ではなかった。福田首相が交代しても、財政政策に新しいリスクにはならないだろう。国の債務がGDPに占める割合を見ると、日本は当社が分析している104カ国で最高。これだけ大きな債務を削減するためは、もっと大掛かりな仕掛けが必要だが、これまでの日本の政策は物足りない」

--福田首相の後継には、現自民党幹事長の麻生太郎氏が有力視されています。麻生氏はどちらかというと積極財政論者なので、財政再建が棚上げされて、対GDPの債務比率がますます悪い方向になるという懸念もありますが。

「麻生氏が次期総理になっても、特段、財政政策は変わらないだろう。日本は2011年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を均衡にするという目標を掲げている。その改革スピードはずいぶんのんびりした印象がある。新しい首相が就任した後、すぐ解散・選挙になるともみられており、次の首相が誰であっても影響はないとみている。そもそも、昨夏の参院選以降、政治の構造は大きく変わった。衆参ねじれ状態の中では、誰が首相になっても現在の政治を大きく変えるのは難しい」

--日本の財政再建には何が必要ですか。

「歓迎されることではないが、最も重要なのは増税だ。とくに消費税率。国際的な基準に照らすと、日本の消費税率の5%は非常に低い。欧州では、付加価値税に当たる税金の税率が20%を超える国もある。日本の税金は米国式だが、社会保障は欧州式を求めている。この二つの整合性が取れてない。また、歳出削減も必要だ。過去10年を振り返ると、日本政府は公共投資の削減はうまく進めてきた。公共投資の対GDPは大きく下がった。が、さらに減らさないといけない部分がある。具体的には年金や健康保険、福祉一般だ。このあたりが必要だというのは、政治家も認識しているが、政治的には非常にセンシティブ」

--日本の財政再建の見通しは暗い…

「楽観していない。日本は高齢化が進んでおり、年金や健康保険などの社会保障制度の改革を国民が支援することはなかなか期待しにくい。仮に自民党が両院で過半数を占めていても、こうした政策を導入するのは難しいのに、衆参がねじれているので、さらに困難になる。余計にこうした改革が行われることが考えにくい」

--民主党が政権を取ったとしたら?

「外国人は日本の民主党をよく知らない。日本の政治イコール自民党だと思っているところがある。その分、偏見はないかもしれない」

--日本経済の先行きをどう見ていますか。

「日本が景気後退局面にあるのは間違いない。私は2008年、09年のいずれも、日本のGDP成長率は1%以下になると予測している。個人消費は、雇用条件の悪化と物価高で弱含み。設備投資は上向いてくる可能性があるが、企業収益はコスト高を価格に転嫁できず、さらに落ちるだろう。輸出についても、米国向けをはじめ減速している。国の財政赤字が大きくてもGDPそのものが増加すれば、政府債務のGDPに占める割合も改善されるが、日本は高齢化によって、潜在成長率そのものが1.5%程度に落ちているとみており、それは期待できない。日本は構造改革に取り組むしかない」

(聞き手:松崎泰弘 武政秀明 =東洋経済オンライン)

関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
JR九州“脱鉄道”の成算

今年、上場を果たしたJR九州。豪華寝台列車「ななつ星in九州」は話題になった。しかし、人口減少などもあって鉄道事業の先行きは暗い。成長は非鉄道事業の成否に懸かっている。