リブ肉専門店「ロウリーズ」が支持される理由 ホームグラウンド「赤坂」に戻ってきた

拡大
縮小

日本での店舗展開にあたっては、本店側からさまざまな指定があった。肉の質や調理法はもちろんのこと、テーブルのサイズ、動線といった細部についても本店のコンセプトを踏襲したそうだ。また、空間の大きさについても、本店のこだわりでもあり、「変えてはならない」と秋元社長自身が感じたところだった。

「赤坂という土地で300坪の店舗を展開し、はやらせるというのは正直、きつい。特にオープン後すぐにBSEが発生、それが収まったら今度はアメリカでBSEが発生し、骨付き肉を仕入れられなくなりました。そういったこともあり、旧赤坂店にて当初目標の年商10億円を達成するのには数年かかりました」(秋元社長)

日本ならではのサービスで乗り越えた危機

BSEという大きな痛手を乗り越える一助となったのが、開業当初は行っていなかった日本ならではのサービス。たとえばランチ時間帯に“プライムリブ重”といった和のメニュー提供やサラダブッフェを始めたほか、ディナーではガーリックライスを提供し始めるなどだ。マダムデジュネ(ランチを楽しむマダム)をはじめとする女性客を取り込んだことも、認知度を高めるうえで役立った。

恵比寿ガーデンプレイス店への移転後は、2年目で10億円を達成。客層が赤坂と異なり、プライベート需要が中心となったという。

「成功の理由としては、独特のコンセプトを持ち、まねができないので競合しづらいこと。味も日本人の好みに合っていて、肉が軟らかく、ステーキよりペロリと食べられます」(秋元社長)

ローストビーフというと、冷菜や前菜が思い浮かぶが、プライムリブはまったく違う料理。肉の塊をローストしたものを客の好みの厚さにカットし、温かいソースに浸したものだ。ナイフで切る必要もないぐらい軟らかく、質感も長時間煮込んだ肉を思わせる。同店では、「ヨークシャープディング」が付け合わせられており、ソースをつけながら、肉とともに食する。日本限定の「トーキョーカット」(4000円)から骨付きの特大カット「ダイヤモンド・ジム・ブレーディーカット」(9600円)まで5種類が用意されている。いちばん小さいサイズでも、コースを頼むとかなり満足感が高い。

約300グラムの「ロウリーカット」は6900円(写真:ワンダーテーブル)

外観や内観のゴージャスさもあり、「高級な店なのでは」と二の足を踏んでしまうが、実際には客単価が1万~1万5000円程度。焼き肉やステーキではもっと高い店もあるし、ハレの気分を味わうための価格としては妥当だと考える客も多いだろう。実際、恵比寿店では日に300~400人中、2割が記念日利用だそうだ。

次ページそして、「上陸の地」である赤坂へ
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT