丸井やマルコメが独自アニメでCMを打つ理由 実在人物や有名キャラの起用が抱えるリスク

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有名作品やキャラクターを使わず、オリジナルアニメCMによって、企業の商品やサービスなどを宣伝・プロモーションするという新しい流れが生まれている。最近ではマルコメ、野村不動産、日本マクドナルドホールディングスなどの企業が打ち出している。

マルコメは2014年から主力商品「料亭の味」のプロモーションとしてオリジナルアニメCMを制作。2017年9月までに5話が制作され、いずれも好評を博している。もともとは商品発表会用だったが好評だったため、テレビでの放映が決定した。

新社会人になった息子と母を描いた第1弾「母と息子篇」はYouTubeで110万回以上再生され、受験勉強をする娘と父を描いた第3弾の「夜食篇」は受験の時期に重なったこともあって、200万回以上再生された。

「母と息子編」はYouTubeで110万回以上の再生回数を記録(写真:マルコメHPより)

「味噌には日本人が古くから培ってきた温かさが詰まっているのがわれわれの想い。それを表現できる方法として、オリジナルアニメーションが活用できるのではないかと考えました」。マルコメの広報担当者は言う。

アニメを見て育った世代が大人になったことで、アニメは「子どもの娯楽」から「全世代に訴求できるコンテンツ」へと変化した。宣伝・プロモーション手法としての有効性が増している。ただ、その中でもオリジナルアニメCMが登場している背景には、大きく4つの理由がある。

オリジナルアニメCMが登場している理由

まず、「生身の有名人」を使う企業広告のリスクが大きくなっていることだ。スマホの爆発的な普及で、インターネットが日常に溶け込み、ニュースサイトやSNSを介して、さまざまな情報が世の中に行き渡るようになった。

誰もが情報発信できるようになり、タレントとユーザーの距離が近くなった結果、ちょっとした失言やスキャンダルをきっかけに批判の嵐を浴び、イメージダウンが起こりやすくなった。不倫をはじめとするスキャンダルに限らず、熱愛、結婚、妊娠などの発覚さえも、時と場合によっては企業イメージを左右しかねない。行き過ぎなケースもよく見られるが、神経を尖らせるスポンサーも少なくない。その結果、イメージキャラクターを降板させたり、広告を自粛したりすることもある。

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