日本人の僕がパレスチナで起業家を募る理由 ガザの若者に未来への展望を持ってほしい

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「Japan Gaza Innovation Challenge」代表を務める上川路文哉さん

:よろしくお願いします。

上川路:よろしくお願いします。

:ガザでのビジネスの立ち上げを支援する取り組みをされていて、先日までクラウドファンディングにもチャレンジされていましたね。具体的にはどのような活動内容か教えていただけますか?

上川路:我々は、社会人主体の20人くらいの団体です。ビジネスのバックグラウンドを持っている人間が多いものですから、「生きる力をガザの人たちにつけてもらおう」ということで、起業支援をやっています。ガザの失業率は、若手の15歳から29歳で区切って見ると、6割を超えています。彼らは過去10年間で3回戦争に巻き込まれている事情から、戦争によってもしかしたら建屋とか固定資産が破壊されてしまう可能性もあります。「とにかく自分1人で飯を食っていける腕を磨いてほしい」「何度でもビジネスを作り直せるような才覚を磨いてもらうことが一番彼らのサポートになる」という観点で、起業支援をさせていただいています。

ガザで起業支援をやることになったきっかけ

:ガザで起業支援をやることになったきっかけは何だったんですか?

上川路:2003年に、「日本・イスラエル・パレスチナ学生会議」という学生団体を立ち上げました。対話を進める学生会議です。「仲が悪いと言われるイスラエル人とパレスチナの人が、直接会って話をしたら仲良くなるんじゃないか」というコンセプトの下やらせていただいていたものです。

ただ、次の年にガザに行った時に、私がイスラエルの国防軍に捕まってしまって。その場で対話をしようとしてもなかなか難しい。「話せば分かる」という世界だけではできないこともあるなと。それから、世の中をしっかりと変えていく力をつけたいと思いビジネスのフィールドに就職して、10年強になります。10年経った今ならできることがあるかなと思い、今回の起業支援をやらせていただこうと思った次第です。

:世界でいろんな出来事がある中で、当時どうしてイスラエル・パレスチナ紛争に目が向いたのでしょうか?

上川路:当時、日本のNGOが呼んだパレスチナ人による講演を聴きに行ったところから始まりました。その方から、イスラエルの悪口や、イスラエル人からひどいことをされているということを聞きました。私の出身校は国際基督教大学(ICU)なのですが、キャンパス内に留学生がちょこちょこいて。イスラエルの友人に「イスラエル人がこういうことしていると聞いたんだけど、ひどいんじゃないか」と話をさせていただいて。でもそれはイスラエル人からしたら全く違う見方があって。

それをパレスチナ人に聞くとパレスチナ人から論破されて。またイスラエル人のほうに行くとまた論破されて。というのを繰り返しているうちに、「直接会って話をしたらいいんじゃないか」と思い立ち、始めました。

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