「上がり過ぎた米国株」の下落が始まる時 「選挙前は上昇」の日本株神話も今回は微妙

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過去15回のうち13回、衆院選挙前の株価は上昇。だが、今回は雲行きが怪しい(撮影:尾形文繁)

「情勢激変」だが、結局は安倍首相希望のシナリオ?

「安倍晋三首相が衆議院解散に踏み込んだのは誤りだったのではないか」、との声がある。確かに、民進党の衰退だけではなく、「小池新党」の準備が整っていないという情勢判断を踏まえて「今なら選挙戦を戦える」と考えたのであれば、その後の「希望の党」の立ち上がりの速さや勢いと、民進党の実質解体の動きは、誤算だったとは言えそうだ。

ただ、最終的な候補者が確定していないため、決め打ちは危険だが、小池百合子代表は、民進党所属の議員で、希望の党公認を求める候補者について、「安全保障と憲法改正で一致しない限り、公認しない」と明言している。この方針を堅持できれば、民進党内の護憲派は希望の党に参加できず(あるいはそうした議員自身が参加を望まず)、同党は安全保障体制を重視する改憲派の党となる。

今回の選挙の場合、現与党(現有議席は自民287、公明35の合計322議席)、希望の党(候補者は100人程度か)、日本維新の会(現有議席15)といった「改憲派」を合わせて、衆議院の定員(定数は現在の475から465に減る)の3分の2(310)を超える可能性が高い。

もちろん、この場合でも、自民党の改憲案がそのまま通るかどうかはわからない(要請を取り入れて、改憲案を修正する必要が生じうる)が、改憲が国会では可決される公算が強いと言える(もちろん、その後国民投票でどうなるかは、また別の話だが)。

一方、現与党が過半数(新定員下で233)を割り込むには、自公が現有議席から90議席以上失う必要がある。希望の党候補者が、述べたように100人程度と見込まれ、民進党護憲派の現職議員と争うような選挙区も多いと予想されることから、自公が過半数を割り込む展開は見込みにくい。

とすれば、希望の党の今の勢いは、安倍首相の想定外なのかもしれないが、改憲勢力が合わせて3分の2以上を占め、かつ自公が過半数を維持して安倍政権が継続、という展開は、結果として当初の目論見通りなのかもしれない。加えて、安倍政権の経済政策等もそのまま選挙後も変わらない、ということから、総選挙だけを取り上げれば、特に株価の上げ材料でも下げ材料でもないと考えられる。

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