希望の党、突っ走った挙句に早くも息切れ 「小池一極集中」でも矛盾は隠しきれない

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ただし辻元氏には余裕がある。彼女の場合、独力で小選挙区を勝ち抜く力があるためだ。一方、大阪府連に所属するもうひとりの前職である平野氏はなかなか厳しいようだ。民主党政権時には官房長官や文部科学相を務めた平野氏だが、2012年の衆院選では落選して比例復活も叶わなかった。2014年の衆院選でようやく比例復活した平野氏にとって、希望の党への参加は政治生命にかかわる問題だ

ところが、それは絶望的になった。民進党大阪府連の悩ましい状況に追い打ちをかけるのが、30日に開かれた「3都物語」会談である。

大阪府内では希望の候補者なし

小池知事と日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事、大村秀章愛知県知事が会談し、東京都内の小選挙区では維新の候補者を立てず、大阪府内では希望の候補者を立てないという“棲み分け”を決めた。共通政策をまとめ、3知事が揃う街宣も予定しているという。そんな中で民進党大阪府連は、どのような候補を応援すれば良いのか。日本維新の会の候補者を応援するわけにも行かず、選挙への対応に苦慮することになりそうだ。

全国幹事会・選挙対策担当者会議の開催で地方組織のガス抜きは終わったのかもしれないが、前原氏がこれからなすべき課題は多い。

前原氏は、大阪府のような地域も含めて希望の党に対して全員の公認を求めていく必要がある。それと同時に、候補者への選挙資金の問題についても解決しなければならない。

先月最終週、民進党からの公認内定者に対して、それぞれ500万円ずつが振り込まれている。「玄葉(光一郎・党総合選挙対策本部長代行)さんは1500万円支給すると言っていた」(民進党の前職の衆議院議員)というから公認内定者には、さらに1000万円が振り込まれることになるのだろう。こうした資金を、希望の党は虎視眈々と狙っている。

日本共産党の機関紙・赤旗は9月30日「希望の党に公認を申請する前議員は、公認申請料として300万円、党への寄付金200万円の計500万円を振り込むように求められた」と報じた。また9月29日の産経新聞ウェブ版では「(希望の党は)公認希望者には供託金を含めて700万円の拠出を求めていた」と報じられている。決して少ないとはいえない金額の資金が、希望の党へ流れていくことになる。

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