トヨタがマツダとEV新会社を設立したワケ デンソーも出資、今後他社に参加を呼びかけ

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トヨタとマツダは8月、互いに500億円ずつを出資して資本・業務提携し、EV技術の共同開発を行うと発表していた。今回、マツダがトヨタとほぼ同じ数のエンジニアを送り込むのは、トヨタがマツダの開発手法を求めているからにほかならない。

EVは今後普及したとしても、ガソリン車と比べて台数規模はまだ小さい。大量生産・販売を得意とするトヨタの手法が必ずしも通用しない可能性がある。小型車から大型車まで基本設計をいち早く共通化して、効率よく開発しているマツダの手法はトヨタにとって魅力的だ。

デンソーとは昨年12月にトヨタが社長直轄で立ち上げた「EV事業企画室」を通じて、EVの設計・開発で協力している。今回の新会社はこの事業企画室とも連携する。デンソーは電池やモーターの制御などに必要な技術を持ち、ハイブリッド車の基幹技術などを担ってきた実績がある。トヨタは新会社でも早い段階からデンソーの技術を取り込むことで、EVの量産化を確実に進めたい考えだ。

急速に進む「EVシフト」

日産が9月に発表した新型リーフ。航続距離を大幅に伸ばし、需要の取り込みを図る(撮影:大澤誠)

EVをめぐっては世界の開発競争が激しくなっている。各国で環境規制が厳しくなる中、日産自動車が10月に大幅に航続距離を伸ばした量産EV「新型リーフ」を発売する予定のほか、米EVベンチャーのテスラが7月に出荷開始した「モデル3」はすでに受注が50万台になった。

独フォルクスワーゲン(VW)も2025年までに世界販売の25%をEVにする方針を掲げるなど、EVシフトの波が起きている。エンジンに比べて構造が簡単なため、中国でもBYDなど新興企業が勃興。英家電メーカーのダイソンも、9月26日に2020年までにEV市場に参入すると発表した。

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