EU単一市場脅かすポーランド政権の司法介入 EUは速やかに断固たる制裁をせよ

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EU単一市場が危険にさらされている(写真:Hannah Mckay/ロイター)

右派政党「法と正義」(PiS)が実権を握るポーランド政府が司法の独立を脅かしている。そんな懸念を欧州委員会が示してきた。ティマーマンス副委員長によれば、同国政府は今も協力を拒み、問題解決の具体策を何ら公表していないという。

欧州連合(EU)は、断固かつ速やかに制裁を行うべきだ。裁判所を政府の支配下に置こうとするPiSの試みは、EUの民主主義的価値に反し、単一市場を危険にさらすものだからである。

単一市場は、域内のどの国の起業家が、域内のどこで商売や投資活動を行おうと同一のルールが適用されることが前提になっている。ルールは欧州司法裁判所やEUの官僚機構だけでなく、加盟国の国内裁判所によっても行使される。

司法の独立が最も重要な要素

私たちは国家機能の進展が経済発展にどんな影響を与えているか、中東欧17カ国を対象に調べた。わかったのは、司法の独立が最も重要な要素だということだ。

司法の独立性が増すことで経済発展が加速することも、私たちの研究で明らかになった。裁判所への信頼が増すと、その国の輸出は増加する傾向にある。

一方で、司法は経済発展の阻害要因ともなりうる。公正で一貫性のある司法判断が行われないとなれば、ビジネスの成功は、企業努力以上に有力者に対するコネや忠誠心が物をいうことになってしまう。企業は投資を減らし、事業革新を怠るようになるだろう。

ハンガリーで最近起きたことが示すように、既得権層が司法の監視を恐れなくなると、立場の弱い市場参加者を強引に締め出し、その国の経済の大部分を占拠するようになる。その究極的な結末が国家収入の低下である。財政に窮した政府はEUからの補助金に一段と依存するようになる。

EU単一市場の悪夢を現実のものにしてしまったのが、ポーランドとハンガリーだ。両国政府は、市場統合の恩恵を国内に行き渡らせる仕組みを切り崩すだけでなく、市民の権利をそいでいる。にもかかわらず、こうした非民主的政府は今も、EUから補助金を受け取っているのだ。他の加盟国が同様の蛮行に走らないよう、EUは今こそ大胆な行動に出るべきだ。

ラズロ・ブルスト 中央ヨーロッパ大学教授

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Laszlo Bruszt

ハンガリー・ブダペストの中央ヨーロッパ大学、イタリアのピサ高等師範学校で社会学教授。

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