東芝、メモリ売却契約も「不安だらけ」の船出 「関係者の合意得られず」会見は中止に

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東芝メモリの四日市工場。ようやく売却契約にこぎつけたが・・・(写真:編集部)

2兆円の巨額M&Aがようやくまとまった。さまざまな課題は残るが、とりあえずは晴れがましい門出のはず。それがいきなりつまずいた。

「関係者との最終調整が付かず、本日の会見は中止させていただきます。ご理解をいただきたい」。米国の投資ファンド、ベインキャピタルの杉本勇次日本代表は申し訳なさそうに頭を下げた。

決定から8日かけようやく契約

東芝は9月28日、半導体メモリ事業子会社東芝メモリ(TMC)について、ベインを軸とするコンソーシアムへの売却契約を締結した。

同コンソーシアムにはベイン以外にも韓国の半導体大手SKハイニックス、アップルやシーゲートなど米国IT企業が転換社債や融資で参加する。そして東芝が3505億円を再出資し議決権の40.2%を持ち、HOYAと合わせて日本勢で出資比率の過半を握る。金融機関からの融資も合わせて、2兆円でコンソーシアムがTMCを買収する。

この「日米韓連合」への売却は、9月20日に東芝が取締役会で決議済み。契約締結は「近日中」としていたが、なかなか契約まで到らなかった。「関係者が多く、最終確認に時間がかかっている」と関係者は説明していた。8日かけてようやく契約にこぎ着けた。

そうした中、買収するベインが契約締結発表の記者会見を計画した。皇居に近いホテルには多くの報道陣が集まったが、そこでベインの杉本日本代表の口から出てきたのはお詫びの言葉だった。

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