「伝え方が9割」、その際に大切なのは技術だ 人を動かすコトバには法則がある

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2017年9月8日、アカデミーヒルズにて、東洋経済スタートアップセミナー最終回(共催・トーマツベンチャーサポート)が開催された(撮影:今井康一)
今回のテーマは「『伝え方が9割』~伝え方のプロになる極意~」。登壇した『伝え方が9割』の著者である佐々木圭一氏と会場とのやりとりで濃い2時間となった。

 

佐々木圭一(ささき けいいち)/コピーライター・作詞家・ウゴカス代表(撮影:今井康一)

佐々木圭一氏は、まず上手な伝え方をするためには、「ノー」を「イエス」に変えるための「技術」が必要だと語る。だからこそ、「伝え方はセンスではない。技術なのです。料理にレシピがあるように、伝え方にもレシピがあるのです」という。そして、言葉一つで「ノー」が「イエス」に変わるのは、「コトバに力があるから。人は、コトバによって動かされるのです」と強調する。

たとえば、「あなたのことを何とも思っていない相手をデートに誘うとき、なんと言いますか?」という問いに対し、あなたはどのような答えを出すだろうか。「デートしてください」ではどうも直接的な言い方過ぎる。そのとき佐々木氏は「驚くほどうまいパスタの店があるのだけど、行かない?」といった言い方のほうが、デートを承諾してくれる可能性が高まると言う。

「『レポートの提出を延期してくれませんか?』という言い方も自分の思ったままの伝え方です。そんな時は『クオリティを上げたいので、粘ることできませんか?』と言えば、可能性がありそうだし、ポジティブな評価が付くはずです」

こうした伝え方は、会話の得意な、特別な人にしかできないわけではないと言う。

「いくつかのポイントをつかむことで、誰でもつくれるようになります。上手になるためには、まずアウトプットすることが必要です。3回ほど同じことを繰り返せば、レシピを見なくてもできるようになります。伝え方のコツは、自分の思ったままを言うのではなく、相手のことを想像して話せるかどうかにかかっているのです」

「確率ゼロ」を「あり」に変える

大切だとわかっているのに、誰も鍛えていない「伝え方」。人生でとても必要なものなのに学校でも教えてくれなかったと佐々木氏は続ける。

「保険で商品がまったく同じなのに、売れる人と売れない人がいます。問題は伝え方にあるのです。しかし、伝え方は人生で大切なものであるにもかかわらず、学校では教えてくれません。とくに日本では学べるものではないとされています。でも、そうではないのです。本当は学ぶことができるのです」

縄跳びを一回も跳んでない人が、跳んでみろと言われても、最初から跳べるものでもない。伝え方もそれと同じだ。やったことがないから、できないのだ。実際、佐々木氏も伝えることが苦手だったと言う。

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