義務・強制なし、「進化形PTA」の"柔らかい発想" 「来られる人は来てください」方式で成功

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浄水中学校地域学校共同本部。通称「浄水中PTCA」は、保護者代表7人・地域代表26人・学校代表3人・コーディネーター2人の計38人で運営されています。なお、浄水中学校の生徒数は516人(家庭数は474)です。

会長や副会長、会計などの役員は保護者代表が担当。地域代表は民生委員、保護司、老人クラブ、スポーツ推進委員、区長(自治会長のこと)など。学校代表は校長・教頭・主幹教諭、コーディネーターは保護者から出ています。

このメンバーが年4回ほど会議を行い、活動や予算のことを決定し、保護者や地域の人たちに参加を呼びかけているそうです。

PTCAの活動拠点となる「地域学校共働本部室」。校舎の1階、外から訪れると一番手前にある。ここはセキュリティが切り離されており、利用者は外から直接出入り可能。すぐ横は生徒の昇降口で、子どもたちの様子が自然と感じられる。居心地がよく、近所の人が気軽にお茶を飲みに来るそう(著者撮影)

「花壇をつくるときも、みんなに聞いたら、『ワシがやったろうか』という人が核になってメンバーを集めてくれました。参加されるのは会社を定年退職して第二の人生を楽しまれている地域の方が多いですね。

つい先日も、大人が10人くらいと、ボランティア部の子どもたち30人くらいで、楽しそうに花を植えていました」

学校行事の手伝いも、できる人をその都度募集しています。

校長がメールで「来られる人は来てください」

たとえば、3年前に新設された浄水北小学校では、運動会の2日前にとても気温が高くなったため、当時同校の校長だった片桐先生が急きょ、児童の席にもテントを立てることを提案しました。

前日にテントを組み立てる作業、当日の朝にテントを起こす作業、終了後は片付けの作業がある。みんな作業が早いので、それほど時間はかからないそう(写真:学校提供)

「ちょうど学校に来ていた保護者に『子どもたちの座るところにテントを立てようと思うんだけど、どう思う?』って声をかけたら、『立てよう!』ってことになり。すぐ教頭先生から各自治会に電話をしてもらって、テントを20張りくらい確保しました。

それから僕とその保護者でテントを学校に運んできて、保護者や地域の方たちにメールを打ったんです。『明日の夕方、子どもたちの席にテントを立てるので、来られる人は来てくださーい』って。それだけで、100人くらい集まってくれました

5~6月に行われる運動会の時期の暑さは、確かに大人でもキツイもの。子どもたちのためのテントを学校が確保してくれるのであれば、「設営くらいは喜んで手伝おう」と思う保護者は少なくないでしょう。

次ページ強制的なやり方では、保護者の人間関係が荒んでいく
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