日経平均は「アベノミクス最高値」を抜けるか さすがに「ここからの急騰」は難しいかも

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日経平均は解散後、「アベノミクスの高値」2万0868円を突破できるか(撮影:尾形文繁)

「利上げ=すぐに株価下落」ではない

いよいよFRB(米連邦準備制度理事会)のバランスシート縮小が10月から始まることになった。縮小額のスタートは月額最大100億ドルで予定に従って漸増していくが、1年での総額は約3000億ドル。次の1年は月500億ドルなら年6000億ドル程度。さらに次の2カ月分を足すと、2年2カ月ほどでちょうど1兆ドルの資産が縮小されることになる。

4兆5000億ドルの資産規模の縮小速度としては、資金供給面(マネタリーベース)のタイト感を出さないための「芸術的な数字」に見える。しかもそのスタート時期の議論を数カも前から市場と交わし、現在の明らかに天井圏に入ったと思われる株価を緩やかに着地させようとする当局の姿勢がはっきり示されている。

利上げも年内の12月が濃厚になった。利上げと株価は、株価が天井を打つまで並走するかもしれない。決して「利上げ(引き締め)=すぐに株価下落」ではない。

一方、日本の平成バブルの例はどうだったか。「Qレシオ」やウォーターフロント関連株で踊った平成バブルは、1989年末の日経平均株価3万8915円で天井を打ち、翌1990年初めから3カ月で一気に1万円下がった。

だが当局はこの株価の動きをまったく無視し、公定歩合を3月20日に4.25%から5.25%に逆に引き上げ、3月27日にたたみかけるように大蔵省(当時)は金融機関に不動産融資の総量規制を通達する。

しかし、土地神話がまだ生きていた日本市場は、6月7日に自律反発し、日経平均は3万3192円まで戻る。これが結果的に悪く、8月30日に公定歩合は5.25%から6%にさらに引き上げられた。

この6%の公定歩合と総量規制によって、奈落の下げが起こり日経平均は2万円を割れ、東証1部時価総額はピークの約590兆円(この時は世界一)から319兆円まで落ち込んだ。

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