「寝る前の化粧落とし」を頑張るのは間違いだ その習慣が肌をどんどん壊している

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もうひとつ理解していただきたいのは、肌の外側から細胞の中へ「うるおい成分」などを入れることはできないということです。がっかりさせてしまうかもしれませんが、どんなに高価な化粧水をぴちゃぴちゃ塗りたくったところで、細胞の中に成分が染み込むことはありません。

美肌を作るのは化粧品ではなく食事

『やってはいけない肌のケア “行列ができる皮膚科”の目からウロコの新常識』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

美しい肌を作るのに必要なのは、外から塗る化粧品ではなく、健康な細胞を形成する栄養であるたんぱく質やミネラル、ビタミンなどをバランスよくしっかり摂ることです。肌というものはすべて、最初の細胞を材料にできていて、その細胞の出来が最終的な肌の性能を決めてしまうのです。つまり摂取した細胞の材料=食物に左右されることが大きいということです。

体の細胞が元気に生まれ変われるよう、新陳代謝に必要な栄養を取りましょう。肌に良い食事の原則は、細胞を作る原料となるたんぱく質と、脂質を優先してとることと、炎症や老化のもとになる糖質を控えることです。野菜は彩り程度で十分です。パンやごはんなど、炭水化物含有量が多いものを食べたいときは、食事の最後のほうにしましょう。

正直なところを申しますと、私が食べ物と肌の関係に興味を持つようになったのは、クリニックを開業してからです。大学病院にいたころは、生活指導など特にせず、主に薬を処方して治療していました。しかし、開業して自分の患者さんを持つようになってから、ひとりの患者さんを何年も診なければならなくなりました。

そうすると、食べているものや生活習慣が、肌の健康にとても密接に関わっていることに気がついたのです。「美しく健康な肌へ回復するためには、食生活と生活習慣を改めましょう」と、患者さんと一緒に実体験を積みながら学んでいきました。

患者さんの中には「薬さえ出してくれればそれでいい」と思っている人もいるようですが、そういう患者さんほど私はきつく説明します。「食生活と生活習慣を改善しない限り、肌トラブルを繰り返すだけで治りませんよ」と。

患者さんには毎度いやな顔をされるのですが、私の説明どおりに生活すると、多くの場合は数カ月で顕著な変化が現れます。そうなってやっと、患者さんは私を信じてくれるようになります。

肌トラブルは、間違った知識で"肌に良かれ"と思って日常的に行っているケアや、偏った食生活がそもそもの原因になっていることが多いのです。

村松 重典 おしげ皮フ科クリニック院長

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むらまつ しげのり / Shigenori Muramatsu

1972生まれ、愛知県出身。弘前大学卒業後、順天堂大学医学部付属皮膚科入局。2005年、皮膚科専門医資格取得。2007年、おしげ皮フ科クリニック開業。多くの患者を治療した経験から、皮膚病の多くは生活習慣や食習慣と密接な関係があることに気づく。自身の生活も改善したところ、ダイエットに成功した。著書に『やってはいけない肌のケア "行列ができる皮膚科″の目からウロコの新常識』(KADOKAWA)。

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