「フォロワー数がすべて」に陥った30代の末路 堀江貴文氏から見えてくる「人気の本質」

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もちろん、それだけではない。参加した人はすでに、堀江さんの本づくりに巻き込まれているのだ。仲間となった彼らは本の面白さを口コミで伝え、売り上げにつながっていく。堀江さんは書店巡りもまめに行い、200人以上の書店員と名刺交換をしているという。一冊、また一冊と本を出すたびに仲間は増える。こうして堀江さんは人と人とのつながりを巧みに構築しながら、ベストセラーを連発しているのだ。

「強いつながり」と「弱いつながり」

堀江さんの「人を巻き込む仕組みづくり」を説明してくれるのが、人と人とのつながりを解き明かす「ソーシャルネットワーク理論」だ。ソーシャルネットワーク理論では、人と人のつながりを「強いつながり」と「弱いつながり」の2つに分類する。堀江さんの取り組みをこの2つに分類してみると、堀江さんがやっていることがよく理解できる。

「強いつながり」は、互いに信頼し合った、密接で閉鎖的な人間関係だ。たとえば、映画『ゴッドファーザー』で描かれたコルレオーネ家は、典型的な「強いつながり」の例である。決められたことをキッチリ行うことができる。堀江さんの場合は、継続的に本の企画にかかわるHIUのコアメンバーがそれにあたる。

一方で「弱いつながり」は、緩くつながる人間関係だ。SNSが当たり前の時代になり、「弱いつながり」は簡単につくれるようになった。「希薄な人間関係などアテにならない」と思うかもしれないが、そんなことはない。つながりが緩く広いからこそ、情報を速く遠くまで伝えることができる。また、いわゆる「仲間内」ではないので、思いもよらないような情報や知識を入手できる。

堀江さんは、さまざまなメディアを巧みに組み合わせ、強いつながりと弱いつながりを縦横に駆使することで「売れる本」をつくっている。さらに書店というリアルの世界で、ネットではつながっていない人たちとの新たなつながりをつくり、広げているのである。

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