「フォロワー数がすべて」に陥った30代の末路 堀江貴文氏から見えてくる「人気の本質」

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皆さんの周りにも、シンイチのようにフォロワー数を増やせばカネになると信じて、がむしゃらにフォロワー集めをしていた人はいなかっただろうか。フォロワー数の多い・少ないで競い合い、フォロワー数が増えると自分が人気者になったと勘違いした人たちだ。そもそも、フォロワー数が「あなたの価値」になるわけではない。

もし、あなたが「ホリエモンはフォロワー数が多いのだから本が売れるのは当然」だと考えているなら、それは大きな間違いだ。「フォロワー数=その人の価値」ではない。では、堀江さんの出す本が次々とベストセラーになるのはなぜか?

実は、堀江さんは『なぜ堀江貴文の本はすべてがベストセラーになるのか』という著書で、人を巻き込んで本を売る仕組みの手のうちをすべて公開している。ソーシャルメディアをどう活用するかという観点でも、とても参考になるノウハウが満載だ。

ホリエモンの本が売れる秘密

堀江さんは、簡単な審査で入会できる「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」という会員制のコミュニティを持っている。ネット上でさまざまなコミュニケーションを行いつつ、定例会や交流会、勉強会などリアルなイベントも開催している。堀江さんは、このHIUの有志メンバーと一緒に著書の企画を進めることが多い。人を巻き込むことで、「堀江さんの本」が彼らにとっても「自分の本」になることを知っているのだ。仲間になった彼らは、自分が著者であるかのように自発的に本の宣伝活動をしてくれる。

この「人を巻き込む仕組みづくり」こそが、堀江さんの本が売れる本当の理由だ。40万部を超えるベストセラー『ゼロ――なにもない自分に小さなイチを足していく』(ダイヤモンド社)では、「全国5都市無料講演ツアー」のクラウドファンディングを募り、317人から522万円を集めた。「おカネがある堀江さんが、なぜクラウドファンディングを?」と不思議に思っていたが、「おカネを調達する」ためではなく、「人を巻き込む仕組み」として堀江さんは活用しているのだろう。HIUのメンバーと同じように、出資して仲間になってくれた彼らが宣伝してくれるのだ。おカネではなく、日本全国にいる317人とのつながりこそが大事だったのだ。

『ゼロ』の例では、制作過程をニコニコ生放送で放送して、原稿もcakes(ケイクス)で連載していた。本づくりの過程や原稿をそのままネットで公開するなんてことは、普通では考えられない本の売り方だ。「本を事前に公開すると売り上げが減ってしまう」と考える出版関係者は多く、なかなかまねできることではない。ネット上で話題を集め、一連のイベントに参加した人からはさまざまな感想が寄せられ、思いもしなかったアイデアやヒントを得られたという。

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