限りある資金を有効活用するためにも
リースの積極活用を

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すべての資産を自前で持っていては、負担が重くなりすぎてしまう。とくに中堅中小企業の場合、限りある資金を有効に活用するためにも、自前で持つべき資産とそうでない資産を仕分けする必要がある。そのためにリースを活用するというのも一つの方法。リースに関する著書もある中小企業診断士の六角明雄氏に、リース活用のメリットやリースの上手な活用法などを伺った。

9割以上の企業がリースを利用

―現在、リースの取扱高はどれくらいでしょうか。

中小企業診断士
六角明雄
昭和41年生まれ。昭和63年地方銀行入社、融資渉外係として約800社の中小企業を担当。平成12年中小企業診断士登録、平成19年中小企業診断士事務所開業。豊富な経営コンサルティングの経験を生かし、商工会議所・システム開発会社などの主催するセミナー講師としての登壇や雑誌への寄稿も多数。著書に『図解でわかる リースの実務いちばん最初に読む本』(アニモ出版)他

六角 リース事業協会によると、2016年度のリース統計ではリース取扱高は約5兆円でした。また、同協会が2015年に実施した、リース需要動向調査によれば「現在リースを利用している」と答えた企業はおよそ9割、「リースを利用したことがある」企業は約96%に達しています。ただ、民間設備投資額に占めるリース設備投資額の割合はここ数年、5%台の後半で推移しています。この比率が10%を超えたことは過去1度もありません。私自身は設備投資の20%くらい占めてもいいと考えていますので、5%台というのはいかにも低すぎます。

―割合が低いのはなぜですか。

六角 いろいろあるでしょうが、リースのことをきちんと理解している経営者が少ないことも一因だと思います。リースとレンタルを混同している人は少なくないですし、リースできるものについても正確に知っている人はそれほど多くありません。自動車や機械設備がリースできることは広く知られていますが、飲食店などの内装もリースできることはあまり知られていません。工事現場で使う足場もリースできます。賃貸借できるものは基本的にすべてリースも可能といっていいでしょう。もちろん賃貸借できるものでも、情報が外部に漏えいすると困るような機密性の高いものなどは、リースに適していません。

設備投資に多額の資金を投じないで済む

―リースの活用にはどのような利点があるのでしょうか。

六角 リース事業協会が2015年に行った「リース需要動向調査」によると、企業がリースに対して感じているメリットでもっとも多かったのは、設備の導入時に多額の資金が不要であることです。これはリースが借り入れや割賦販売に代わる金融機能を持っていることをよく示しています。もちろん銀行借り入れも有効な方法です。ただ、銀行の場合、必要な額のすべてを貸し出すことはあまりありません。500万円が必要とすれば、100万円から150万円程度は自己資金を用意させるのが通例です。これに対してリースの場合、所有権はリース会社の側にありますから、全額リース会社が出します。また、銀行借り入れの場合、それぞれの企業に対して融資枠が設定されているのが一般的です。したがって設備投資のために融資枠をフルに使うと、仮に運転資金が足りなくなっても新たな借り入れは難しくなってしまいます。その点、設備投資にリースを活用しておけば、運転資金が苦しくなったときには銀行借り入れを活用することができます。だから私は手元資金が十分でない企業に対しては、リースを提案するようにしています。対象となる物件の価格も、交渉能力の高いリース会社であれば、一般的な市場価格より安くなることも期待できます。

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