時代錯誤の「労働搾取」に若者が負けない秘策 無意味な「滅私奉公」を求める上司は無視せよ

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そして、最後はEnvironment(エンバイロメント)、すなわち「働く環境」である。あなたが働く職場の環境は、上記4つの「E」をそぐ環境ではないだろうか? やる気がないばかりか、毎晩のように飲み会で会社や上司の悪口ばかりを言う、不平不満を周囲に撒き散らす社員はいないだろうか。もし、あなたの職場環境がそうした望ましくない環境だとしたら、自ら場所を変えるしかない。

そうは言っても、会社の人事制度を変えたり、叱責ばかりしてくる上司や、やる気のない同僚を変えるなど、自分の職場環境を変えるというのは個人の力ではなかなか難しい。他方で、「転職」によって、よい職場に恵まれる保障はないし、なんの後ろ盾もない中で会社を辞めて「独立」するのはさらにハードルが高い。

自らの可能性を狭めるのではなく

環境そのものを変える難易度が高いならば、社内の「有志」を集めたコミュニティを立ち上げてみるのもいい。パナソニック社の「One Panasonic」や富士ゼロックス社の「わるだ組」などが挙げられる。また、エンゲージメント高く働く人が多く集まる「場」に、自らの活路を見いだしてみるのもよい。たとえば、大企業の若手有志が集う「One JAPAN」という団体がある。「One JAPAN」は昨年設立されたばかりの若い任意団体で、40社250人が参画する大企業の若手有志団体のプラットフォームとして活動をしている。9月に都内で開催された設立1周年記念イベントには800人もの人が一堂に会し、「これからの社会をどうデザインするか?」について、自らを主語に語り合った。

もし、やりたいことが明確にあるのなら、「複業」という形で、会社員を辞めずにやりたいことにチャレンジしてみるのもいいだろう。いずれにせよ重要なのは、「会社員だから」と自分の可能性を自ら狭めるのではなく、自らの強みを活かし(イネーブルメント)、自らを励ましてくれるメンターを見つけ(エンカレッジメント)、自ら考え、自ら行動する習慣をつくり(エンパワーメント)、自らエネルギーを満たせるように自分の時間を取り戻すこと、そして、この4つの「E」を可能にする環境(エンバイロメント)を自らつくり出すことだ。自らを活き活きとさせ、社会のために貢献する働き方。これこそが、今の時代に最もあった新しい働き方だと筆者は確信しているし、こうしたスタンスを取っていれば、「ブラック企業を辞めたくても辞められない」という事態は自然と解消されるのではないかと考えている。

西村 創一朗 複業研究家・働き方改革コンサルタント

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にしむら そういちろう / Soichiro Nishimura

1988年、神奈川県生まれ。大学卒業後、2011年に新卒で株式会社リクルートキャリアに入社し、法人営業、新規事業企画、採用担当を歴任。本業の傍ら「二兎を追って二兎を得れる世の中をつくる」をビジョンに掲げ、2015年に株式会社HARESを創業。兼業起業家として活動した後、2016年末にリクルートキャリアを退職し、独立。2017年6月からはランサーズ株式会社に複業社員として入社し、社内外の働き方改革の推進にコミットしている。個人ブログとして「NOW OR NEVER」がある

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