駅や列車で深刻化する「キャリーバッグ」問題

通行の邪魔、思わぬ「凶器」になることも

新幹線へキャリーバッグやスーツケースなど大きめの荷物を持ち込むとき、どこに置いたらいいか悩む人が多いことだろう。荷物棚に置こうにも「持ち上げる力がないから」と足元に置いたままの乗客も少なくないようだ。

自分が窓側に座っているときに、通路側の乗客が大きなバッグを足元に置いたまま居眠りでもされたらどうなるだろうか。トイレに行きたくなったときに、その人を起こすのははばかられる。かといって、自分の目的駅に着いたときには、その人をたたき起こしてバッグを動かしてもらわないと出られない。窓際に座っていて、通路側にバッグを置いて座ろうとする乗客を見て、「その荷物を上の棚に載せましょうか?」と声かけするような人はどのくらいいるだろうか。「通路側と窓際と替わりませんか?」という人がいるとも思えず、やむなく窓側の乗客は「しばらくの間は辛抱」ということになるのだろう。

誰が誰を思いやるべきなのか?

さて、前述のスミスさんは日本でこんなことも経験したという。

「駅でスーツケース2つを引いて歩いていたら、正面から歩いてきた人が真っすぐ僕のほうに向かってきたんだ。普通の感覚なら、僕が重いものを持って引いているのが見えたら右か左かによけてくれると思うんだけど、ぜんぜんお構いなしにどんどん僕のほうに向かってくる。これではぶつかると思って、いったん止まってスーツケースから手を離して、最後は僕がよけた。全然周りのことが見えないのか、それとも単に意地悪なのか……」

同氏はまた、日本に行ったことのある女性スタッフの話として、「日本人はドアを開けて待ったりしてはくれない。荷物で両手がふさがっているときくらい助けてくれるかと思ったらそれもしない」とグチっていた。

訪日客が増えているから、温かく「おもてなしの心」で対応するべきだ、と主張するつもりはない。確かにギリギリのスペースでしのぎ合っている超混雑の通勤電車に「大きなスーツケースを持って乗ってこられるのは許せない、邪魔だ」という考えも理解できる。しかし、明らかに重い荷物を運んでいる人を前に、目に入らないかのようなリアクションを取るのは決してよいことではないだろう。

キャリーバッグを取り巻く事故について、鉄道運営会社などがことさらに注意喚起しても、依然発生しているのは嘆かわしいことだ。持っているほうがいけないのか、それとも周りを歩く人々の注意力が不十分なのか。利用者それぞれのちょっとした気配りがあれば、キャリーバッグをめぐる問題の多くは解決しそうな気がするが、どうだろうか。

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