安倍首相、「冒頭解散」で10.22選挙に突入か

ネーミングは「出直し」より「モリカケ隠し」?

自民党の塩谷立選対委員長は予想される解散日程について、(1)臨時国会冒頭、(2)臨時国会後半、(3)来年通常国会冒頭、(4)来年春の予算成立後、(5)通常国会会期末、が首相の選択肢だと解説していた。「解散風はいったん吹き出したら止まらない」という永田町の法則に従えば、政局運営上も首相の冒頭解散断行が「最も合理的」(側近)ともみえる。

ただ、国民に信を問うからには、有権者を納得させられる大義名分も不可欠だ。

安倍政権としては「北朝鮮危機やアベノミクスなど内外の重要な課題にしっかり対応するためには、改めて国民の支持を得ての体制強化が必要」との立場だが、相次ぐ弾道ミサイル発射や水爆実験で米朝軍事衝突も想定される時期にあえて解散することへの疑念も拭えない。しかも、これまでの事前調査結果では「自民議席減」が確実視されてきただけに、衆院での自民絶対安定多数が崩壊するリスクも大きい。政府・与党内には「この時期の政治空白は危険だ」(防衛相経験者)との指摘もあり、最近の各種世論調査でも早期解散を支持する声は少数派だった。

現行憲法下での衆院解散の歴史をひも解くと、国会召集時の解散は1966年の佐藤栄作内閣での「黒い霧解散」、1986年の中曽根康弘内閣での「死んだふり解散」、1996年の橋本龍太郎内閣での「新選挙制度解散」などがあるが、21世紀になってからは例がない。首相は第2次政権発足から2年後の2014年11月に増税の是非を問う「アベノミクス解散」を断行して圧勝したが、その後は繰り返し解散風を吹かせながらも決断しないまま現在に至っている。 

トランプ大統領の初来日も絡み、日程は綱渡り

秋以降の政治・外交日程をみると、北朝鮮危機への対応を除いても、「解散断行は日程的にも極めて窮屈」(官邸筋)だ。まず、冒頭解散がない場合の衆院青森4区、新潟5区、愛媛3区での「トリプル補選」は10月10日告示・22日投開票が決まっている。また、外交でも11月上旬(4~6日)にトランプ米大統領の初来日が予定され、続いてAPEC首脳会議(ベトナム、10~11日)、ASEAN首脳会議(フィリピン、中旬)など重要日程が目白押しだ。

トリプル補選は投票日前に解散すれば消滅するが、選挙期間中に米大統領を迎えるというのは外交儀礼にも反する。過去の事例から解散から衆院選投票までの期間は最短で20日間だが、選挙後の特別国会召集と首相指名選挙を受けての新政権(第4次安倍政権)の組閣も考えると「最低でも約1カ月間の政治空白」(総務省)は避けようがない。

このため、臨時国会召集日(28日)の冒頭解散でも投開票日は補選と同じ10月22日か1週間後の29日に限定され、「論戦抜き」との批判をかわすための首相所信表明演説とこれに対する各党代表質問を経ての解散となれば投票日は29日にせざるを得ない。

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