「北朝鮮危機」、米海軍の元高官が語る核心 戦争勃発の可能性は5→10%に高まった

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2つ目の問いについて、私はMSNBCテレビで、われわれには次の3つのオプションがあると述べた。

(1)軍事的対応

(2)追加制裁による圧力強化

(3)現状の受け入れ

答えとしては、(2)と(3)の混合になるだろう。私がFOXラジオでも語ったように、すべてにおいてカギを握るのが「外交」だ。これまでのところ、米国務省の目立った関与が見られないのは不安である。同省からは、わずかに動静が伝わってくるものの、現時点では、プレスリリース1通のほかに、目に見える成果は出ていない。レックス・ティラーソン国務長官は、チャンスを逸する前に、ゲームに復帰する必要がある。

さらに中国は、北朝鮮への影響力行使にあたり、大きな役割を果たすことができるし、そうするのが望ましい。平壌へ通じるすべての道は、北京から伸びている。ブルームバーグラジオでも述べたように、北朝鮮でビジネスを行う中国企業をターゲットにした制裁が、次の必須ステップとなるだろう。

南シナ海・太平洋地域の将来

北朝鮮問題を踏まえて、太平洋地域と南シナ海の今後についての、私の長期的な展望を述べよう。

アメリカは、同盟国(韓国、フィリピン、日本)、友好国(ベトナム、台湾、マレーシア、シンガポール)と密接に協力しなくてはならない。日本への空母打撃群の常駐は、今後も継続し、グアムか日本を基地として、この地域に配備する潜水艦の数を増やす必要があると考えている。南シナ海での海軍の前方プレゼンスは、この地域の均衡を維持するために不可欠といえる。

南シナ海北部については、いずれ北朝鮮に対処するための海軍を基本とした計画が必要だろう。北朝鮮は言うまでもなく、世界で最も危険な国家だ。開発中の小型核兵器、弾道ミサイルは、やがて飛距離を伸ばす。彼らは核実験を行いながら、兵器を利用する意思をちらつかせている。

国民は深刻な栄養失調に苦しみ、人口に占める囚人の割合が多い。指導者の後継者は民主的手段では選ばれず、南の隣人である韓国とは領土紛争を抱える。北朝鮮は、経済的・政治的目的の達成を阻むアメリカや日本などを頻繁に脅している。北朝鮮の行動パターンや基本的事実を踏まえ、世界ののけ者になっているこの国に対処する計画が必要だ。

まず、国際社会はこれまで以上に大胆に制裁を加えたほうがいいと私は考える。核兵器開発が疑われるというだけであれだけの制裁を受けたイランを思えば、すでに核兵器を保有し、不要な核実験を行っている国に対する制裁が少ないのはなぜか。アメリカ議会は制裁を強化した改定案を通過させたばかりだ。

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