マツダ「CX-8」が脱ミニバンで目指す新境地 プレミアムブランドへの脱皮に向け真剣勝負

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またマツダのこだわりといえば、ディーゼルエンジンだ。CX-5の「SKYACTIV-D2.2」に改良を加えてトルクを上げたことにより、アクセルを踏んだときの加速性能が高まったという。

CX-8が搭載するのは、SUBARUもホンダも生産を縮小するというディーゼルエンジンのみとなるが、松岡主査によれば「CX-5より200キログラム近く重量が増えるため、燃費性能を考えるとディーゼルが妥当だった」という。

目指したのは欧州ブランドのスタンス

CX-8はディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」のみの展開だ(撮影:尾形文繁)

デザインや走りに対するマツダのこだわりは、日系他社と少々異なる。「(メルセデス・ベンツやBMWといった)欧州のプレミアムブランドは、乗り手の愛車に対する誇りを考えながら、デザインや性能に落とし込む。そんな姿勢をわれわれも強く意識した」。デザイン本部の中牟田泰・本部長は、マツダのスタンスをそう説明する。

CX-8でさらに高級感を増したことで、BMW「X5」やジャガー「F-PACE」など、欧州ブランドが展開する同等サイズのSUVに乗る顧客の流入も見込んでいる。しかし「車を買い替えるときの資産価値を重視するユーザーが、日本車に振り向く可能性は大きくない」(前出の杉浦氏)との見方もある。

結局、主な購入者層は現在CXシリーズに乗っている、走りのよさをわかっているマツダファンになるだろう。小飼社長は「お手頃な価格で提供できた」と自信を見せる。CX-8の月間販売目標は1200台。主力商品であるCX-5の目標が2500台であることを考えると「やや強気な数字」(杉浦氏)だが、あえてチャレンジングな目標を掲げた。

「ずっとマツダ車に乗り続けたい、という方への選択肢を提供したい」と松岡主査は言う。そんなマツダの願いは、消費者に届くだろうか。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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