iPhone Xの本質は「夢を実現する遊び場」だ

発展のカギは「アプリ開発者が面白がるか」

それだけにやや地味なアップデートに感じるかもしれないが、着実に歩を進めている。もちろん、iPhone 7/7 PlusからiPhone 8/8 Plusへと買い替えるべきか?と問われれば、“べき”とは答えない。

しかし、Apple Watchなども含めアップル製品が向かう方向が、今回の発表ではっきりと見えてきたのではないか。

iPhoneの利用フィールドを広げようとしている

たとえばiPhone 7の目玉機能だった防塵防滴仕様。これは、iPhoneの利用フィールドを広げていく一環という見方ができる。新たに発表されたApple Watch Siries 3はLTEを搭載し、iPhoneの一部を切り出して、限定されたフィールド――たとえばマリンスポーツやランニングなどをしている際の通信手段に広げてくれる。従来からFelicaなどによる決済にも対応していることを考えれば、腕時計ひとつといえどもできることは意外に多い。

6月に開催された開発者会議のWWDCでは、機械学習の応用やTouch IDのアプリ内での利用について繰り返し話が出ていたが、これも機械学習を効率的に高パフォーマンスで行うためのプロセッサーの改良などとも関連付けて考えれば、やはり一貫したコンセプトでの進歩と受け取ることができる。

全面がディスプレーとなった「iPhone X」(筆者撮影)

スマートフォンは一気に進化を成し遂げ、すでに成熟期に入っているとの見方は正しいと思うが、その中でも将棋やチェスを指すように、将来を見すえてハードウエア、OS(基本ソフト)、周辺機器、それにアプリ開発者向けのサポートを同時進行で行っている。さすがに1回のモデルチェンジで市場ルールを変えることは難しいが、しかし数年を振り返って見ると確実に便利になり、当初は未成熟だった機能もこなれ、アップルのプラットフォームへの依存が高まっている。そんな状況を上手に作り出している。

今後もアップルはこれまで10年かけて築いてきたApp Storeとそれを取り巻く開発者コミュニティを育てながら、数年のレンジでさまざまな機能、使い方をイネーブリングしていくことだろう。

ただ、それにしては昔感じていた“興奮”がないと感じている読者も多いのではないだろうか。ひとつには生活や仕事にかかわるあらゆるジャンルでスマートフォン対応が進んだ結果、まったく新しい使い方やアプリのジャンルなどのアイデアが出尽くしたという面はあるかもしれない。

次ページ多くの新規機能がアップルのアイデアではない
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