人間の成長は「属する集団」次第という真実 子どもの学力向上や英語習得に必要なこと

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わずかな遺伝的差異が時間をかけて大きく膨らんでいきます(写真:kou / PIXTA)
「スポーツマン」「ガリ勉」「オタク」――。あなたは学生時代、どんなグループに属していただろうか? あなたのお子さんは?
2000年刊行のロングセラーで、この夏に新版として改題・文庫化された『子育ての大誤解――重要なのは親じゃない』の著者にしてアメリカの教育研究者ジュディス・リッチ・ハリス氏が、友だち関係のなかで育まれる子どもの「自己像」に着目し、英語学習に最適の環境からグループ間で学力差が広がるメカニズムまで、子どもの学びをめぐるトピックを論じる。

子どもたちの暗黙の行動基準

授業中、教師の目を盗んで悪ふざけに興じるクラスメートのことを覚えているだろう(あるいは、あなた自身がそうだったかもしれない)。そういう子どもたちにとって、教室は自分のために用意されたステージ同然。彼らはそのステージ上で、ファンのための特別なパフォーマンスを披露する。ファンというのは、もちろん教室の子どもたちだ。教師はこうした小粋な抵抗に欠かせない引き立て役にすぎない。

学校に通う子どもたちにとっていちばん大事なこと。それは、仲間内での自分の地位だ。それによって、学校はなんとか耐えられる場所にも、地獄にもなりうる。

子どもたちはクラスメートの容姿や振る舞い方に何か「変わった」特徴があれば、それを素早くとらえる。その特徴は、そのままその子のあだ名となることが多い。つまり、「ガリ」「デブ」「メガネ」「のろま」「博士」「弱虫」「泣き虫」などだ。

子どもたちの集団はあらゆる手段で、暗黙の行動基準を強要する。その基準に従わない、もしくは従うことのできない者、さらにはなんらかの形でそれに当てはまらない者は除外され、いじめられ、笑いものにされる。

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