乗り換え検索「駅すぱあと」、大変身の舞台裏 「酔っ払いモード」導入の狙いは?

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「付加価値を高める」サービスの例としては、昨年8月に全国路線図API (Application Programming Interface)、「駅すぱあと路線図」の提供を始めた。

全国路線図API「駅すぱあと路線図」の例(画像:ヴァル研究所)

これは、「駅すぱあと」が持つ鉄道路線図上に任意のデータを反映させることなどができるWebAPI機能、つまりネット上で動く補助機能だ。たとえば不動産事業者が手持ちの物件を登録すると、見込み客が希望する鉄道沿線や駅の近くにある物件を一覧表示することができる。視覚に訴えることで、商談をスムーズに進められるわけだ。

この機能を使えば、公開されている政府系データや鉄道事業者が公開している駅乗降客数データと連動させることでマーケティングに応用できる。また、駅名を英語表示したうえで駅ナンバリングにも対応することで、観光業界が訪日客向けサービスの向上に生かすなど、多彩な応用方法が考えられる。基本サービスはヴァル研究所が提供するものの、それをどう生かすかは利用者次第というところが、既存の乗り換え案内サービスと大きく異なる点だ。

「子連れ」や「酔っ払い」にも対応

また、子連れでの外出を応援する付加価値サービスも提供している。「ママすぱあと」は、子連れで出掛ける人を対象とした乗り換え案内サービスで、ユーザー同士の情報交換機能を持たせることで、ベビーカーで必要なエレベーターの情報を交換したり、おむつ交換台があるトイレの情報交換をしたりしている。さらに、スマホ向け「駅すぱあと」のプレミアムプラン(有料)には、「ママモード」を搭載している。乗り換え時間に余裕をもたせたり、ベビーカーでも乗り換えやすい経路を表示したりといったサービスだ。

このほか、スマホ向け「駅すぱあと」のプレミアムプランには今春、「酔っ払いモード」が追加された。これは「駅すぱあと」アプリ内にある「酔っ払いモード」を選択すると、居場所から最寄り駅を推定。事前に登録してある自宅最寄り駅までの終電の時刻と経路を自動計算してくれるというもの。さらに、その終電までの残り時間も秒単位で示してくれる。飲み会が楽しくて、つい終電の時間を忘れてしまうことはよくある話だけに、うれしいサービスだ。

さらに、新たな展開としては、スマホのカレンダーから駅すぱあとが自動で経路探索し、出張後の交通費精算まで自動で行うクラウド型ビジネス支援サービス「RODEM」も今年2月に発売開始している。このシステムを今後さらに進化させて、いずれは鉄道・バス・船のみならず、さまざまな移動手段を組み合わせられるものにしたいという。

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